デフレ企業,株価上昇
(写真=PIXTA)

消費者の節約志向の高まりを背景に、「デフレ関連株」の好パフォーマンスが続いている。百貨店などで高額品の販売が伸び悩む半面、外食では牛丼や低価格居酒屋といったいわゆる「デフレ業態」の売上が好調に推移。関連銘柄への注目度が高まる中、依然として上値余地が見込まれる銘柄に照準を絞った(市場動向取材班)。

デフレ関連とされる銘柄の過去1カ月(17日まで)の上昇率をみると、TOPIX(東証株価指数)の約3%に対し「業務スーパー」を展開する神戸物産 <3038> の53%を筆頭に、280円均一のメニューを提供する焼き鳥店の鳥貴族 <3193> が26%。低価格イタリアンレストランチェーンのサイゼリヤ <7581> も15%に達している。

サイゼリヤの既存店売上高は6月以降前年実績を上回り、鳥貴族も、8月に起きたチューハイへのアルコール製剤誤注入の事故の影響もなく増収基調が続く。9月に新規上場した串カツ田中 <3547> の株価が急騰しているのも、こうした地合いを反映した面が大きい(同社は1くし100円から提供)。

その一方で、今2月期上期(3?8月)の主な小売企業の決算をみると、百貨店のJ.フロントリテイリング <3086> の連結営業利益が前年同期比13%減。セブン&アイ・ホールディングス <3382> やイオン <8267> も総合スーパー事業で苦戦を強いられた。低価格志向がトレンドを形成しつつあることの表れといえる。

日銀は2%の物価目標達成へ向け、9月に金融政策のターゲットを「量」から「金利」にシフトした。しかし、足元では、全国CPI(消費者物価指数)は8月まで生鮮食品を除く総合で6カ月連続で下落するなど、減速傾向を強めている。デフレ関連株が買われやすい局面はまだ終わりそうもない。

上値余地残る大黒天など照準/穴株は大光

注目銘柄の一つが、食品ディスカウントストアの大黒天物産 <2791> 。「大幅値下宣言」と銘打ったセール戦略が奏功し、今5月期第1四半期(6?8月)は連結営業利益が前年同期比26%増の15億円に拡大。値下げ効果で既存店売上高を伸ばす一方、大量仕入れにより粗利益率も同0.9ポイント改善させた。

上期(6?11月)の営業利益予想(27億円、前期比8%増)に対する進ちょく率は56%と上々。計画上ブレも視野に、株価は4000?5000円のボックス圏を上抜けする展開が予想される。

日用品や家庭用品の低価格店を手掛けるジェーソン <3080> も、既存店売上高が好調だ。直近9月は前年同月比6%増。やや流動性に不足感があるものの、デフレ関連への関心の高まりとともに出来高を伴う株価水準の切り上げが期待される。また、直近の急上昇が目立つ神戸物産も、昨年の高値に対する戻りはまだ4割にも満たず、反発の勢いは今後も強まる余地がある。

穴株としては、神戸物産と同様に業務用食品スーパーを展開する食品卸の大光 <3160> を狙いたい。今5月期は連結経常利益9億円(前期比9%増)と前期に続く最高益更新を計画。地盤の東海地方について、日銀が直近のリポートで景気判断を下方修正したが、こうした業態には逆に好材料となる可能性もある。(10月19日株式新聞掲載記事)

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