英教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)」が「アジア大学ランキング」を発表した。3年連続首位を維持していた東京大学が一気に7位まで転落したほか、京都大学が11位とトップ20には2校のみがランクインという、日本の大学にとっては不名誉な結果となった。

同じく2校しかランクインしなかったシンガポールだが、こちらは東大から首位の座を奪ったシンガポール国立大学、2位の南洋理工大学と、順位面で大きな差をつけた。最多数では5校がランクインした韓国に祝杯があがる。中国本土、香港ともに各4校、台湾は1校という結果に。注目すべきは昨年までは圏外だったイスラエルから、2校もトップ20入りしている点だろう。

アジア22カ国・地域の200の大学を5つの項目(教育の質・国際観・学術論文などの引用頻度・産学連携力・研究力)で総合的に評価している。

シンガポールの大学に国際観で大きく差をつけられた日本の大学

東大に代わって首位に輝いたシンガポール国立大学と2位の南洋理工大学。昨年度から順位を落とした東大、京大との明暗をわけた要因を探ってみよう。

総合評価の平均差は約23ポイント。最も評価で差がついたのは「国際観」で、シンガポールの2校がともに95ポイント前後であるのに対し、日本の2校は30ポイント前後にとどまっている。「(学術論文などの)引用」も、シンガポールの方が約10ポイントから30ポイント高い。

過去のデータと比較する限り、日本の大学の国際性が低下しているのかというとそうではなく、近年国際都市として急激な発展を遂げているシンガポールの大学の国際性が、ここ数年間で飛躍的に伸びていると考えた方がよさそうだ。

また「引用」に関しては2014年にソースがトムソン・ロイターからエルゼビアに切り替わり、評価に採用される査読済みの学術文献のデータ幅に広がりがでたことが影響しているものだろう。

しかし「教育」の充実度に関しては日本の大学の方が平均30ポイント上回っており、今後得意分野を伸ばしながら、痛恨の痛手となった国際観などの向上に励むことが、来年の首位奪還につながりそうだ。

中韓香の大学パワーも健在 注目はイスラエル?

日本以上に受験戦争が激化しているといわれる韓国は、トップ12に4校もランクインするという快挙を果たした。就職難を受けて、昨年は1965年以来初めて生徒数が減少したことなどが報告されているが、まだまだ実力を発揮し続けそうな気配だ。

韓国の大学は研究への資本力を測定する「産学連携力」で突出しており、韓国トップの浦項工科大学校やKAISTは満点を獲得。つまりアジア最高のレベルに達しているということになる。

しかし日本や中国同様「国際観」が最大の足かせとなっており、視野をよりいっそう海外に向けて解放していく必要がありそうだ。
中国の大学は総体的な向上が見られる反面、特別共通して突出した分野が見られない。香港はシンガポールと同じく国際性豊かな教育システムが高評価につながっているものの、教育の質や学習環境の改善に力をいれることで、さらなるランクアップが期待できる。

イスラエルからは歴史の最も長い2大学の勢いが目立つ。ともに研究施設の充実度が評価の押しあげに大きく貢献しているものと思われる。以下で、アジア大学トップ20を見ていこう。