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Rechtwijzer(画像=Webサイトより)

イノベーション(技術革新)は時に、破壊的な影響をもたらす。ノーベル経済学賞を1973年に受賞した旧ソ連の経済学者であるワシリー・レオンチェフ氏はこの点を指摘し、急激な技術革新が起こると、多くの労働者はその技術革新に適応できず、用済みになるという考えを示した。

今まさに人工知能(AI)による技術的失業が懸念されている。昨今のAIの発達はまさに急激な技術革新で、弁護士や医師などの高い専門性をもつ職業も代替してしまうのではないかとみられている。

AIと専門家のビミョーな関係

AIで代替されうるのは、単純な労働やいわゆるホワイトカラーの仕事だけではない。ほかのさまざまな高度専門分野でもAIの活用が進んでいる。驚くべきことに、医療という高度に専門的な分野でもすでにAIが活躍し始めており、注目を集めている。

東京大学医科学研究所の附属病院とアメリカの大手IT企業のIBMなどのグループは「Watson」と名付けたAIを医療の分野に活用した。IBMはWatsonに2000万件もの研究論文や、1500万件を超える薬剤の情報、癌と関連のあると考えられる遺伝子情報などをインプットして、学習させ、診断能力を磨いてきた。

2015年1月に同附属病院にある患者が入院し、医師から「急性骨髄性白血病」と診断されたが、効くはずの抗癌剤を投与するも一向に効果が出ない。そこで患者の遺伝子情報を入力すると、10分ほどでWatsonは「急性骨髄性白血病」ではなく、「二次性白血病」だとの見方を出した。この情報を元に治療方針を変更したところ、8カ月後無事に退院しており、日本でAIが患者の命を救った初めてのケースといわれている。

米で「就職」した弁護士ロボ

アメリカではROSS Intelligenceが開発したAI「ROSS(ロス)」が法律事務所に「就職」したことが話題となっている。ロスも前述のIBM・Watsonをベースに製作されており、破産に関連する業務を担当している。

アメリカの訴訟では判例が重視されるが、過去の判例から関連性の高いものを探し出すのは非常に骨の折れる作業だ。従来は新人の弁護士が担当していたこの業務を、ロスが担当している。

ロスは関連度の高いものや、有利な判例をまとめて提示する。また、現在争われている裁判についても常に監視し、新たな判例が出るとすぐに知らせてくれる。ロスの活躍により、人間の弁護士は他の業務に専念できるという。

現在は判例の調査に仕事を限定されているロスだが、自分の出した情報が裁判にどのように役に立ったかを学習することもできる。それにより、将来的には担当裁判官が過去に出した判決を元に、戦略を立案し説得力のある書面を作成することも期待されており、今後さらに高い利便性の実現が期待されている。

「離婚」もロボット弁護士が助言する時代は来るか?

「破産」と並び人生の一大事である「離婚」の問題でも、AIはすでに活躍中だ。オランダ政府が2007年にスタートさせた「Rechtwijzer(司法の道標)」というAIを用いたサイトは年間700件以上の離婚案件を扱っているのだ。

離婚を検討している夫婦は1万円相当を支払うことでこのAIを使用できる。まずはサイト上で夫婦それぞれに年齢、収入、学歴などを質問し、子供のいる夫婦には子供を夫か妻のどちらの家に住まわせたいか、それぞれの家に期間を分けて住まわせたいかなどの質問を投げかける。AIはそれらの質問の回答を元に妥協案を提示する。

サイトには子供の養育費を計算したり、同意書の草案を作成したりする機能もあり、追加料金を支払うことでプロの仲介人を雇うこともできる。交渉がまとまらず実際の裁判まで進むのは全体の5%程度だという。同様のシステムはイギリスやカナダでも採用が決定している。

ロボ弁護士が発達すると、弁護士への相談料が下落し、今まで高額で活用できなかった人も利用できるようになる。弁護士にとってもシンプルな案件はAIに任せることで、複雑な案件に集中できるようになる。うまく共存できれば消費者側には司法サービスの価格低下の恩恵を、弁護士側には業務の効率化や負担軽減などの大きなメリットをもたらしてくれそうだ。(ZUU online 編集部)

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