介護関連メディア事業を手がけるインターネットインフィニティーが、運営するWebサイト「ケアマネジメント・オンライン」の会員ケアマネージャーを対象に、介護保険外サービスについて調査したところ、介護保険外サービスの必要と感じる分野について、6割のケアマネージャーが「安否確認・見守り」と回答。次いで「介護保険では認められない家事援助(ペットの世話、草むしりなど)」が58.3%、「介護保険の限度額以内に収まらない生活援助(掃除、調理など)が51.9%−−などとなった。
そもそもの「介護保険外サービスの必要性」については、「感じる」(63.8%)と「多少感じる」(30.7%)を合わせ、9割のケアマネージャーが「介護保険外サービス」の必要性を実感している。
調査は2016年8月に実施され、1394人の会員ケアマネージャーが回答した。
安否確認や見守りサービスのニーズ高い
サービス業者は地域によって偏りがある。このため、情報を集める手段として多くのケアマネージャーが挙げたのが「ケアマネージャー仲間からなど口コミ」(67.5%)で、次いで「地域包括支援センター」(53.1%)、「インターネット」(45.8%)の順。サービスの実態をお互い情報交換することは必要だろう。
こうしたサービスを利用者に紹介し、利用につなげたことのあるケアマネージャーは全体の74.6%と、7割以上を占め、実際に利用したサービスも「家事援助・外出支援などの民間サービス(介護保険事業所の保険外サービスも含む)」が73.1%と圧倒的。高齢者のニーズの多くが、ちょっとした「困り事」で、民間業者が補完している構図が良く分かる。利用したこれらのサービスについて、約7割のケアマネージャーは「満足している」と答えている。
しかし、「家事援助・外出支援など地域ボランティアによるサービス」(29.9%)や「地域の見守り事業」(24.5%)の活用は低調で、サービス向上が地域ぐるみで進んでいない実態も明らかになった。
活用しない理由は「経済的な理由」
さらに介護保険外サービスを利用者支援に活用していないケアマネージャーに聞くと、サービスの受け止め方について意見が分かれることも良く分かる。活用しない理由として、最も多かったのが「経済的な理由」(55.9%)で、「地域に利用できるサービスがない」(38.7%)、「内容や質に満足できるサービスがない」(32.8%)と厳しい意見だ。
これは介護保険外サービスが、民間のサービス中心で、利用者の経済的負担がやはりネックとなること。地域によっては住まい、医療、介護、生活支援など包括的なサービス提供が遅れていることも示唆している。
このため、介護保険外サービスを支援に組み込むため、どのようなことが必要だと思うかを聞いたところ、7割前後のケアマネージャーが「サービスの多様性や質の高さ」(73.9%)、「サービスの普及や情報の共有」(68.6%)を挙げた。費用については「費用がかかるサービスの補助制度」(54.0%)を望む声が多く、「利用者・家族の理解」(49.3%)が欠かせないようだ。
調査では、多くのケアマネージャーが必要性を感じている家事援助は、地域の活動が広がることで対応できる可能性がある、と指摘している。介護保険外サービスの利用拡大には、その中身に満足できるサービスが増えていくことがカギ。ケアマネージャーの役割も一層重要視されそうだ。
生活全般をサポートするサービス
介護保険外サービスは、介護プランを作成するケアマネージャーにとっても関心が高い。安否確認や見守りサービスなどが増えているが、日常生活支援となるため、サービスの拡充が求められているからだ。
介護も差別化の時代だ。注目されている介護保険外サービスは、利用者の実費負担で行う生活支援サービス。
介護保険は、要介護・要支援状態にある「65歳以上の高齢者」と「40歳から64歳までの特定疾患の患者」が、1割の自己負担で受けられる公的介護サービスだが、この介護保険外サービスは全額自己負担となる。
行政主導の生活支援サービスは縮小傾向だが、こうした生活支援のための保険外のサービスを提供する事業者は増えている。
具体的には外出時の見守り、病院の付き添い、通院の同行などのほか、身の回りの世話など、生活全般をサポートするのが目的だ。また、宅食サービスなど高齢者向けの食事を宅配するサービスなどもあり、高齢者が住み慣れた地域で、生活の質を上げ、より快適に暮らすこともメリットとして挙げられる。
サービスを利用する場合、宅食サービスのように、注文して料金を支払うものもあれば、サービス提供事業者に必要なサービスの見積もりを作ってもらい、実費負担する仕組みのものもある。
現在の介護保険は、介護が必要な人のケアから介護を予防する方向へと大きく舵を切っている。このため、多くの事業者やサービスが生まれたが、介護保険の給付サービス計画を作るケアマネージャーとの連携が重要になる。担当のケアマネージャーとのコミュニケーションを深め、どう利用すれば、予防につながるのか、介護の効率を上げることができるのか、相談することが必要だ。(ZUU online 編集部)
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