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(写真=Thinkstock/Getty Images)

デトロイトやボルティモアなど退廃化傾向にある米都市の競売物件を、移民に低価格で解放することで活性化を狙うという案を示したレポートが、財政政策機関(FPI)から発表された。

移民問題に取り組んでいる経済開発団体、ウェルカミング・エコノミーズ・グローバルネットワークの協力を得て実施した調査によると、5万ドル(約524万円)の価格の住宅購入層に最適な移民世帯の割合は、生粋の白人系および黒人系米国世帯よりも高いという。

リフォームは自腹でも破格の買い得物件 銀行は難色示す

かつて工業地帯として繁栄したラストベルト(脱工業化が進んだ米中西部地域と大西洋岸中部地域の一部)だが、1970年代の大幅な工業移転にともない、現在は廃墟だけが目立つ「さびついた地帯」と化している。例えばデトロイトという単独の都市だけでも、買い手がつかないまま8万もの競売物件が放置されているという。昔も今も変わらないのは、米最大の移民密集地域という点だけだ。

FPIの提案は朽ち果てて廃墟化していくだけの競売物件を低価格で移民に解放し、低所得世帯に住宅購入のチャンスを提供すると同時に、地域の活性化につなげようというものだ。

FPIはすでに5000ドル(約52万円)という破格の値段でこれらの廃屋の一部を移民に受けわたしており、バーゲン住宅を手にいれた移民は実費で修繕や改造を行うことになるが、すべてのコストを計算にいれても既存のルートから住宅を購入するよりははるかに安あがりというわけだ。

デトロイトで5万ドル(約524万円)の住宅を購入するには、最低2万5000ドル(約212万円)の年間所得が必要だ。つまり低所得層ということになるのだが、所得層別に分析してみると、白人系米国人世帯は15.2%、黒人系米国人世帯は16.2%に対し、移民世帯は20.9%にのぼる。

しかしこれらの移民の多くが公認のID(身分証明者)を取得しておらず、銀行口座やクレジットスコアといった住宅ローンの申請に必要な条件を満たしていないことから、所得額以前に「住宅購入資格がない」という非情な現状に直面している。

FPIの働きかけは安定した生活を望む移民にとっても、ラストベルト再建にとっても理想的な一石二鳥戦略といえる。しかし担保貸付銀行が土地開放案に難色を示していることから、本格的な軌道にはまだまだ時間を要するものと思われる。

買い手側の反応としては、廃屋や競売物件と聞くと確かにあまりいい気分はしない。しかしその辺りはあくまで個人の価値観によるだろう。デトロイトのメキシカン・タウンで4LDKの廃屋を1万ドル足らずで購入した28歳の移民男性は、大工の友人などからの協力を得て床の張りかえや新品のキッチンを設備するなど大がかりなリフォームを完成させ、購入から4年経過した今も「非常にお得で有意義な買い物をしたと満足している」と、米メディアの取材に答えている。(ZUU online 編集部)

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