不幸にも親族が他界してしまった際、「故人の残した負債はどうなるのか?」というシビアな疑問は全世界共通のようだ。

負債にも相続制が適用されている日本とは異なり、欧米では特に相続という形式がとられておらず、故人の資産(保険を含む)で返済しきれなかった負債を親族がかぶる義務はない。その代り団体信用生命保険の加入が普及していないため、住宅ローンがなくなるということもない。

負債はなくなっても住宅ローンの支払いは残る

相続人が受け継ぐ「財産」にすべての資産と債務が含まれるというのは、日本も欧米も同じだ。大きく異なる点は、日本では第一相続人が負債を含む「財産」の相続を破棄した場合、第二相続人が相続することになる。つまり親が資産を上回る負債を残して他界したからといって、第一相続人である子供が相続を放棄すると、親の兄弟姉妹などの第二相続人が負債を負う羽目になる。

多額の負債が残されていないかぎり、住宅ローンが申請の際に加入した団体信用生命保険でカバーされるという点は、残された家族にとっては非常に心強いだろう。

一方欧米では「故人」の負債はあくまで「個人」の負債として処理される。遺言状で指名された遺言執行者(遺言状がない場合は州が決定する)が代表して資産整理を行うのが一般的だ。

まずは資産から負債を差し引き、残された資産が故人の遺言にそって、あるいは身近な親族や慈善団体などに分配される。返済優先順位は執行者によって決定される。住宅ローンや自動車ローンといった担保付き負債が優先され、クレジットカードや医療費といった無担保負債は後回しにされるケースが多いそうだ。

日本の相続問題でもめがちな「負債が資産を上回る」という状況下では、親族にはいっさい負担の義務は生じない。米国では連邦取引委員会(FTC)の監視下で、取立人が故人の親族や執行者に連絡をとる際は厳格な規制が設けられているが、州によって規制は微妙に異なるようだ。

ただし負債がジョイント(共同)の場合は、残された債務人に返済義務が生じる。この場合は債権者側と返済額の交渉を行う必要がある。また住宅ローンや自動車ローンの名義人が他界した後も支払いさえ継続していけば、物件や車を自動的に差し押さえられることはない。この際も残された親族と債権者側で、支払い金額などの交渉がもたれる。(ZUU online 編集部)

【編集部のオススメ記事】
「信用経済」という新たな尺度 あなたの信用力はどれくらい?(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
会社で「食事」を手間なく、おいしく出す方法(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)