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(画像=Webサイトより)

内閣府の経済財政諮問会議で10月14日、がん治療薬「オプジーボ」の価格について大幅な引き下げが議論された。これは高額ながん治療薬で、利用患者が急増していることから保険料の財源を圧迫していると問題視されている。

高額薬剤の使用と費用負担のあり方

がん治療薬の「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)。日本赤十字社医療センター化学療法科の国頭英夫部長によれば、オプジーボは「日本で開発された画期的な免疫療法薬」だそうだ。患者自身の免疫機能を高めながら、がん細胞だけを攻撃できる薬であり正常な細胞を破壊する心配も少なく画期的な薬といわれている。

こう高く評価されるだけあって、価格も高い。仮に1人の患者がオプジーボを使用すると、年間で約3500万円かかるのだそうだ(体重60キロの患者が1年間26回使用を想定)。

だが医療費負担は実際には月約8万円程度で済むそうなので(高額療養費制度)、年間でも100万円弱となる。ほかの部分は我々国民全体で負担している医療保険料と税金でまかなわれているわけだ。

そもそも薬価はどうやって決まるのか

患者数が多ければ製薬会社の利益は上がるので薬価は安くなるわけだが、話題の「オプジーボ」の価格が高いのは、もともと2014年9月に世界に先駆けて発売された際の想定患者数が少なかったからだ。報道などによると、患者を470人しか想定していなかったという。

というのも、当初は皮膚がん向けの治療薬として承認を受けており、昨年12月からは一部の肺がん患者にも使えるということになった。そこで高額な薬を使える想定患者数が1万5000人と増えた。これが結果として、保険財政を悪化させつつある。

自分の免疫力を使ってがん細胞を攻撃する

開発したのは中堅の小野薬品工業 <4528> だ。この薬はがん細胞を直接攻撃するのではなく、がん細胞により動きを制御される免疫細胞の働きを活発にして、がん細胞を減らしていく「がん免疫療法薬」だ。

しかしこれまでは「免疫療法」とか「遺伝子治療」などは、保険が適用されないことから金銭的負担がネックとなっていた。

しかし「オプジーボ」は、がん細胞によって免疫細胞の活動を制御されていた部分を解除することで、自分の免疫力を使ってがん細胞を攻撃する新たな免疫治療薬として承認された。

誰でも使える?状況でいいのか

小野薬品工業は、2017年3月期業績見通しを、売上高2,590億円(61.6%増)、営業利益725億円(137.6%増)としている。その前提となる「オプジーボ」の売上高は1260億円だ。上総利益率は2016年3月期が74.1%で、2017年3月期は売上総利益率は73.1%と予想される。

問題は夢の新薬である「オプジーボ」は医師が処方すれば誰でも使う事ができる。治癒の見込みがある患者に使うなら疑問はないが、一方では効果がある患者への投与で必要最小限にして、国民全体の負担増を避けるべきなのでは——との声もある。

費用対効果だけで線引きをして高額薬剤の適否について語るのは「命の値段」を天秤にかけられた家族からすれば辛いものがある。ならば保険料の引き上げや増税を追加的に求めれば解決するかと言えば、そうもいかない。

となれば財政の制約で線引きするのではなく、まずは医学的見地からガイドラインを策定することが求められるのではないだろうか。(ZUU online 編集部)

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