日高屋,業績,決算
(画像=Webサイトより)

現在首都圏の外食産業はすでに飽和状態になっている。そのため多くの外食企業の業績は頭打ちとなっていて、業績に比べ株価が買われ過ぎな状態が続いている状況だ。そんな中で中華食堂日高屋を運営するハイデイ日高 <7611> の業績が突出して伸びている。

すでに売上高は過去最高を更新し、資本から利益を生み出す指標であるROE(株主資本利益率)も15%程度を4期連続で維持するなどハイパフォーマンスを見せている。

このハイデイ日高であるが、かくいう筆者も小岩駅前の日高屋には何度かお世話になったことがある。客層としては会社帰りのサラリーマンや大学生風の若者が客層としては多かったイメージだ。ただ特別料理がおいしいとか、行列ができるほど何かが話題になっているというものではないので、なぜこれほどまでに売上が伸びているのか一見すると不思議になる。

しかし、ハイデイ日高の経営戦略には、安さを売りにするのと同時に隠れた出店戦略と人を育てる独自の教育理念があった。

光るコバンザメ経営の存在

ハイデイ日高は、店舗を都心の駅前に出すという特徴がある。

現在、出店は東京189店、埼玉97店、神奈川58店、千葉39店、その他、首都圏を中心にして出店している。店舗数は最大で600店を目標に事業展開を行っている。

ハイデイ日高の出店戦略の特徴にコバンザメ経営という方法がある。これはあえて大物外食企業の店舗の近くに出店することで、その店舗に通う顧客の一部に通ってもらうというものだ。例えば都心の駅前などには、マクドナルドや吉野家、ドトールコーヒーなどといった企業規模の大きな外食チェーンが名を連ねていることが多い。

通常の発想であれば知名度も資金力もある企業のそばに店舗を出すのは控えるはずなのだが、日高の場合にはその逆を行うのである。これは、そのマクドナルドやドトールと言った大手に足しげく通う客の目にとまりやすくするためで、たまに大手の店舗に通うお客さんが日高屋の方へと流れてきてくれてファンになってもらえればよい、という一つの戦略なのだ。

当然大手の外食チェーンへと行く顧客は、いつもそこへ行くわけではないので、「390円」という価格の安さを売りにしたインパクトのある店舗へと吸い寄せられる訳である。

こうして巨大なサメのおなかに張り付き、そのおこぼれをもらうコバンザメのような経営を行い売り上げを着実に伸ばしているのだ。一度でも来てもらえれば、本当に味と価格に自信があればそのまま日高屋のファンになる可能性も高い。あえて大物外食チェーンのそばに出すというのは理由があるのだ。