日銀,マーケット
(写真=PIXTA)

日銀の新たな政策の枠組みに関して、マーケットのコンセンサスと違う見方をしていることが二つある。

マーケットでの意識と異なる「量」の行方

一つ目は、日銀が政策の軸足を量から金利に転換したため、量が削減されていくことがマーケットで意識されているが、1年程度の目線でみれば、量は拡大する可能性があるとみていることだ。

米国の景気動向が堅調であれば、FEDの利上げ期待の拡大により、米国の長期金利に上昇圧力がかかる。そして、日本では財政が緩和気味になり、グローバルな景気・マーケット動向が安定化するとともに企業活動が回復し、消滅してしまっていたネットの資金需要は復活してくるだろう。

その結果、日本の長期金利のフェアバリューも若干のマイナスから0.25%程度に上昇する可能性がある。長期金利を0%程度に誘導するため、日銀は国債買いオペを現行の年80兆円弱から90兆円程度へ増加させる必要が出てくるかもしれない。これは量的緩和の力が強くなることを意味し、日米金利差拡大と合わせて、ドル・円を110円に向けて、円安方向に動かしてくる可能性がある。

言い換えれば、米国の景気が堅調である好影響に、レバレッジを掛ける政策の枠組みで、そのレバレッジ効果によりデフレ脱却の力を強くし、早期に2%超の物価上昇率に押し上げようというのが日銀の意図だろう。