捨てられる銀行,銀行経営
(写真=Thinkstock/Getty Images)

「地方銀行が次々にまとめ買い」
「銀行員はこの本を読まないと仕事にならないらしい」

週刊誌のそんな記事で話題となった『捨てられる銀行』(講談社現代新書)。これでいよいよ銀行も尻に火がつくかと多くの行員は、自己変革に期待した。

現場で働く多くの行員は今の銀行のビジネスモデルが、もはや行き詰まっていることを身をもって感じている。果たして、その後、銀行は捨てられないために、何を行ったのだろう。

居酒屋で若手行員がもらした本音

「銀行を辞めようと思っているんですよ。ここにいても、自分の能力が活かせるとは思えないんです」

若手行員から居酒屋でそんな話を打ち明けられた。こんな話を聞かされるのは慣れている。銀行に限らず、若手が会社を辞めたくなるなんて、熱病みたいなものだ。

私だって、何度も銀行を辞めたいと思い、先輩や上司に相談した経験があるが、結局は辞めることができずにいる。実際、これまで私に同じ相談をした部下で銀行を辞めた人間は皆無ではないものの、ごくわずかだ。

仕事に行き詰まったとき、仕事に疑問を感じたとき、そして自分の能力や可能性に挑戦したくなったとき、会社を辞めたいと思うのはごく当然のことだ。そんな葛藤の中で、人は成長していく。何の疑問も感じずに組織にしがみついている人間より、「辞めたい」と考えられる人間の方がずっと魅力的だ。

これまで、一緒に働いてきた仲間だ。できることなら、これかも一緒に仕事をしたいとう思いはある。本人の適性がよほど合わない場合を除いては、基本的には引き留めてきた。が、最近はむしろ能力のある人間は、ここにとどまるのではなく、可能性に挑戦すべきではないかと思うこともある。

「ここで自分の能力が活かせないと思うなら、はやく辞めるべきだと思う。でも、世の中そう甘いもんじゃない。自分にどんな能力があって、それが本当に社会で通用するのか? 良く考えたうえで『できる』と判断したならむしろ積極的に挑戦すべきではないか」それが、私の彼に対する本音の答えだ。