この1カ月、原油価格は軟調に推移している。10月に年初来の高値近辺まで回復していた原油価格が軟調へ転じた背景について、ウォール街の市場関係者からは「9月下旬に伝えられたOPECの減産合意に対し、市場が懐疑的になっている」との指摘も聞かれる。

原油価格はこの数カ月、供給過剰とOPECへの減産期待の綱引きで推移しているのが実情だ。それだけに、30日のOPEC総会の結果次第では波乱含みとなることも考えられる。

当面は最近のレンジである40〜50ドルを中心とした値動きが見込まれるが、OPECの減産見送りによる一段安は否定できないところだ。一方、価格が上昇すれば米シェールオイルの増産が見込まれる点にも注意が必要だろう。

OPEC減産期待が40ドルをサポートするが

原油価格(WTI、期近)は、9月下旬のOPEC会合の減産合意を受けて、10月には1バレル=50ドルを超えて年初来高値にほぼ並んだものの、その後は減産に懐疑的な見方が広まり、11月は40ドル台で推移している。

OPECは9月28日の臨時総会で加盟14カ国の原油生産量を日量3250万〜3300万バレルに制限することで暫定的に合意した。当初は11月30日に予定されているOPEC総会での正式合意が見込まれていたが、生産枠を巡る内部での意見対立から正式な合意は困難との見方もあり、状況は不透明だ。

「減産見送りリスク」は払拭できない

減産合意のカギを握りそうなのが原油価格で、これまでの経緯を踏まえるとポイントになるのは、恐らく40ドルだ。

産油国の動きを振り返ると、原油価格が30ドルを割り込むなかで2月16日にはサウジアラビア、ロシア、ベネズエラ、カタールの4カ国が「増産凍結」で暫定的に合意した。4月18日のドーハ会合では「1月時点の生産量での凍結」が予想されたが、原油価格が40ドル台を回復したことで凍結の意欲が薄れ、協議は物別れに終わっている。

6月のOPEC総会でも「増産凍結」への期待が高まったが、原油価格が50ドル台まで上昇していたこともあって見送られている。一方、9月の減産合意前には40ドル割れが視野に入っていた。

こうした経緯を踏まえると、40ドルを防衛ラインにこの水準を下回るようだと何らかの措置を取ることが予想されるが、この水準を維持できるのであれば減産合意の可能性は薄いと考えられる。現時点で「減産見送りリスク」は払拭できない。

そもそも9月の臨時総会での「減産合意」はやや誤解を招く表現であり、より正確には原油価格の下落を回避するために減産の「必要がある」との認識を共有したに過ぎない。原油価格の下落を回避できるのであれば、減産の「必要はなくなる」点に注意が必要だ。

とはいえ、11月の総会でゼロ回答では原油価格が急落しかねない。現在、イラン、イラク、ナイジェリア、リビアの4カ国が減産免除を求めており、この4カ国を除外した上で生産量を10月の水準で「凍結」するといった対応も考えられる。もちろん、「必要があれば減産する」との文言を付け加えることも忘れないだろう。