将来に備えて貯金をしなくてはと考えている方にとって、まず思い浮かぶのは「定期預金」ではないだろうか。多くの方がイメージしている定期預金とは、自動積立定期預金である。毎月決まった金額を一定期間預け入れ、満期が来ればその金額と利息を受け取ることができるというものだ。

たしかに、自動積立定期預金も定期預金には違いない。しかし本来定期預金とは、まとまった資金を金融機関に預け入れ、一定期間預け入れることで高金利の優遇を受けるための金融商品の一つである。現在、普通預金で預けているまとまった資金があるならば、それを定期預金にすることで、その金利の差はかなり大きくなるだろう。

今回は、そんな知っているようで知らない定期預金について解説していく。

目次

  1. 定期預金とは?
  2. 定期預金と普通預金の違い
  3. 定期預金の金利を比べる
  4. 定期預金のデメリットとは
  5. 他の金融商品と比較
  6. 定期預金も金融商品である

定期預金とは?

定期預金とは、予めまとまった資金を、決められた一定の期間まで引き出すことの出来ない預金である。預け入れ期間は1か月から10年までと様々であるが、普通預金に比べ金利が高く、確実に資金を増やしたいという方にとって、魅力的な金融商品であると言える。

満期日、利率は初めから決められており、元本保証のある金融商品である。また、定期預金はセーフティーネットであるペイオフの対象となっているので、金融機関が破産した場合でも、預金保険機構により1000万円とその利息については保護されている。

はじめに触れたように、毎月一定額を積み立てていく自動積立定期預金であれば、少額から始めることもでき、将来への備えとして選択肢の一つになるだろう。

定期預金と普通預金の違い

定期預金は、通常使用している普通預金とはその目的が異なっている。普通預金は、生活資金を出し入れすることが前提で、引き落としなどの決済用として利用している方も多いだろう。

一方、定期預金の目的は貯蓄である。つまり、普通預金に預けている資金は流動性を前提としているのに対し、定期預金は固定的な預金であると言える。途中解約も可能だが、その場合には高金利の恩恵は受けることができない。

定期預金の金利を比べる

定期預金においては、店舗型銀行よりネット銀行が、都市銀行より地方銀行が金利の面では高い傾向にある。中に6か月定期で0.200%の利率を採用している商品もある。普通預金の金利は、高いものでも0.002%ほどであるので、10倍の差がある。

また、期間が長いほど、金額が大きいほど高金利が設定されていることも多く、長期間使用しない資金がある場合には魅力的である。また、長期間であれば複利で利子が付くため、さらにその差は広がっていくだろう。

定期預金のデメリットとは

長期の定期預金商品は、一見高金利で魅力的に見える。しかし、それにはあるリスクが伴うことも忘れてはならない。

まず、長期の定期預金を行う場合、満期までに確実に解約をしなくて良い資金かどうかを検討してほしい。原則、一定期間の預け入れを前提に高金利が設定されているため、途中解約をした場合には、普通預金と変わらない金利になってしまうということも考えられる。

また、定期預金は固定金利のものが多く、金利の変動があった場合でも最初に決められた利率となってしまう場合がある。それに加え、固定金利の場合には物価の上昇などによる目減りのリスクも負うことになる。定期預金を始める前に、これらのデメリットを考慮した上で判断をしてほしい。

他の金融商品と比較

では、他の金融商品と比べた時に定期預金はどのようなメリットがあるだろうか。外貨預金と国債で比較をしてみよう。

まず、外貨預金の場合には先述したペイオフの対象外である。つまり、1000万円の元本も保証されないのだ。加えて、定期預金に比べ外貨預金はよりアクティブな資産運用であるため、大きく増える可能性がある一方、大きく元本割れしてしまうというリスクも負うことになる。また、為替手数料など定期預金にはない手数料が発生する。

では、個人向け国債はどうだろう。固定3年満期の国債がある。これは金利が固定されているため、物価の上昇などのリスクを負うことになるだろう。また、金利も定期預金に比べ高いとは言えない。定期預金であれば3年満期のものだと複利で利子が付くため、国債よりは利子部分は大きくなる商品もあるだろう。

定期預金も金融商品である

定期預金は、資産運用の中でも安心感のある商品である。また、積立により毎月支払うことで「お金を貯める」ということを意識しないでも、勝手に貯まっていくのも魅力である。まとまった資金を安全に少しでも増やしたい方にも、メリットが多いものと言えるだろう。

しかし、どのような金融商品でもデメリットやリスクがある。定期預金も、インフレや円安のリスクがあることを忘れてはいけない。身近にあるからこそ、より高金利なもの、様々なリスクに耐えうるものかを判断した上で、資産運用の一つの選択肢として定期預金を検討してもらいたい。