教育資金,学資保険
(写真=PIXTA)

子供が希望している進学先の入学試験に合格しても、入学金や学費が足りない、払えないなどの理由で学業をあきらめざるを得ないケースが決して少なくないことをご存じだろうか。

そんな残念なことにならないよう、早期の準備が必要だ。いろいろな方法があるが、今回は学資保険を取り上げてみる。

学資保険の仕組み 積立貯金との違いとは

学資保険は、契約時から満期まで、毎月保険料を支払い、満期をむかえたら満期金を受取るタイプが一般的だ。満期は大学入学に合わせて、子供が18歳の年に設定することが多い。積立貯金に似ているが、大きな違いは契約者の死亡保障も兼ねていることだ。

例えば月1万円ずつ積み立てていくと、貯金なら18年で216万円+利息分が受取れる。しかし、万が一契約者である親が18年を待たずに死亡してしまったら、貯金はそれまでの分しか受取れない。

一方、学資保険であれば、契約者が亡くなった場合は月々の支払いは不要になり、満期金は減額されずに受取れる。親が亡くなっても学費は確保できることがポイントになる。

学資保険選びのポイントは、積立期間と返戻率

どの金融商品についても言えることだが、資金作りは期間が長いほうが有利になる。なぜならば、保険の場合、契約者から集めた保険料を保険会社が運用をして増やしているのだが、期間が長いほど高金利で運用ができるからだ。高金利なので、資金をより増やせるというわけである。

そのため、契約をするなら早いほうが効果的だ。そして、小中高の進学時にお祝い金を受取るタイプより、満期時にまとめて受取るほうが、受取り総額は多くなることが一般的だ。

親の死亡保障を兼ねているので、親の年齢や健康状態、職業で保険の契約条件が変わってくる。満期までの保険料支払い総額に対して、受取りの満期金がいくらになるか、つまり返戻率(へんれいりつ)が何%になるか、各社比較検討することが重要になってくる。

返戻率とは、受取り総額÷保険料総額×100で計算できる。

代表的な学資保険の比較 ソニー生命、アフラック、フコク生命……

代表的な学資保険を比較してみよう。

●ソニー生命「学資保険」 人気の定番商品

学資保険の中では、人気の定番商品。中学・高校・大学の各進学時にお祝い金を受取るⅠ型と、大学など進学時にまとめて受取るⅡ型、大学など進学後に毎年額資金を受取るⅢ型がある。

18歳満期の場合、保険料の払込み期間は、18歳までだけではなく10歳までにすることもできる。月々の支払いは高くなるが、返戻率がアップするし、塾などの費用がかかる時期には保険料の払込みがないというメリットがある。

また、最近は推薦やAO入試での進学も多く、高校3年生の秋には入学金等の支払いが必要になることが増えてきた。この場合18歳満期では間に合わないこともあるので、17歳満期も検討したい。

●アフラック「夢みるこどもの学資保険」 受け取り開始年齢を選べる

高校入学時に「学資一時金」、大学入学時から「学資年金」を4年間にわたって受け取ることができる。学資年金の受け取り開始を、子供が18歳と17歳のどちらでも選べるので、大学進学の際に余裕をもった資金計画が可能だ。

ソニー生命の学資保険と同様に、10歳までに保険料を払済みにすることもできる。

●フコク生命「みらいのつばさ」 ジャンプ型とステップ型

大学進学時に重点的にそなえるジャンプ型と、祝金の受取りが入園・入学から大学卒業まで細かく設定されているステップ型がある。各祝金の受取りは、入園・入学前の11月1日なので、入学準備に活用することができる。そのタイミングで必要なければ、祝金を受取らずに据え置いておき、必要な時に引出すこともできる。

保険料の払込期間は17歳までなので、入学準備に費用のかかる高校3年生以降の出費がないのは安心できるだろう。

●オリックス生命「終身保険ライズ」 学資保険ではないが……

最近注目されている学資準備として、学資保険以外の保険商品を利用する方法がある。死亡保障である終身保険は貯蓄性があり、特に「低解約返戻金型終身保険」は、保険料の払込期間に解約すると解約返戻金が低く元本割れをするリスクがあるが、保険料の払込が終われば解約返戻金がぐっと増える。これを利用して、10年や15年の短期払いにして、大学入学前に必要な時に解約すれば、学資保険と同様のリターンを得ることができるのだ。

保険の被保険者を親にすることで、親が万が一死亡した時には、学資保険よりも高額の死亡保険金が受け取れるメリットもある。

学資保険は途中解約すると損

契約をする時は、満期まで継続することを前提にしているだろうが、もしもの時に備えるのが保険。保険料の払込期間中に何らかのアクシデントで、払えなくなってしまった時のことも、念のためチェックしておこう。

保険料が払えなくなるほど、家計に変化があるのは、病気やケガで働けなくなってしまう時が多い。そういった時に、保険料の払込が免除になる特約があれば付加しておいたほうが良いだろう。

学資保険は、満期前に解約すると元本割れになるケースがほとんど。特に、低解約返戻金型の終身保険では大きく目減りしてしまう。
契約期間は長いので、備えは万全にしておこう。

教育費は、将来に向けた投資でもある。しかも、リターンは出資者の親ではなく、子供に返ってくることを目的としている点が、他の投資との大きな違いだ。ぜひとも、子供の大切な未来のために、後悔のない選択をしていただきたい。

タケイ啓子
ファイナンシャルプランナー(AFP)36歳の時に2人の子をつれて離婚し、大手生命保険会社に営業として就職。そ の後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを発症。現在はがんとお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録FP

【編集部のオススメ記事】
「信用経済」という新たな尺度 あなたの信用力はどれくらい?(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
会社で「食事」を手間なく、おいしく出す方法(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)