人間がトイレで過ごす時間は年間で約2週間といわれている。それだけ長くいる空間であるトイレに「居心地のよさ」を求めるのが昨今の風潮である。今日11月19日は、「世界トイレデー」である。
賃貸住宅においても、入居する際、トイレはみなチェックしないだろうか。それだけ重要なポイントなのである。洋式はもはや当然でそのうえのウォシュレット機能などといったレベルである。
「世界トイレデーをきっかけ」(?)に、改善・リニューアルを考えてみてはいかがだろうか。
中古物件の空室理由は和式トイレ?
中古物件において、決まらない部屋に置いてまず改善したいのが「和式トイレ」である。リクルート住まいカンパニーが行った「首都圏賃貸住宅市場における入居者ニーズと意識調査」の「借りるのをためらってしまう設備は何か」という質問に、回答者の8割弱が選んだのは「和式トイレ」なのである。
この意識調査の結果が世論に近いとすれば、和式トイレの空室は仕方がないだろう。そこで提案は、費用がかかってもきちんと工事をしたほうがいいということだ。
たしかに、和式から洋式への変更工事は床の段差の解体や給排水管の調整などが必要な場合が多く、工事費が50万円を超えるのが相場だ。トイレ本体より工事費がとても高いのである。
しかし、工事費がかかるということで、和式便器に付加するだけの簡易洋式化を選ぶというのは、慎重な判断が必要。なぜなら簡易洋式化でのトイレでは、入居検討中の人からすると和式と変わらないからだ。それではリフォームの意味がない。洋式化工事をした部屋は、入居者に好印象を与え、和式トイレだった故に家賃を下げざるを得なかったデメリットも払拭することができるのだ。
洗浄機能つきはもはや当然?
最近では、家電量販店で洗浄機能つき便座は1万円から販売されている。入居者に、さらなる好印象を与える手段であれば1万円であっても安い。投資用物件では、入居者がきまらなければ投資効果は、マイナスでしかない。まずは入居者への好印象を与えなくてはならない。
内閣府の発表している2016年3月の「主要耐久消費財の普及率の推移」によれば、洗浄機能つき便座の普及率は、なんと81.2%にものぼるのだ。パソコンと同じレベルだ。これから一人暮らしを始める若者には、もはや「ついていて当然」の機能なのだ。
他には「節水型」等もファミリー層には追加する価値がある。トイレの水使用量は実はお風呂より多いそうだ。水道代も違うので差別化をファミリー層物件には行えるのだ。
補足であるが、世界トレイデーとは。
世界トイレデーは、トイレと衛生施設についてオープンかつ率直に話し合えば、人類の3分の1の健康と福祉を改善できることを目標としている国際連合が発表している。
毎年、80万人以上の5歳に満たない子どもたちが下痢で命を落としている。その数は1分に1人を超えている。
他にも無数の人々が重病に陥り、その多くが健康や発育への長期的な影響に苦しんでいる。その最大の原因は、劣悪な衛生状況である。
全世界で適切な衛生施設を利用できない人々は約25億人にのぼり、屋外で排便する人々も10億人を超えており、世界のトイレの現状を話し合おうという日である。
洋式か和式かというレベルのお話ではないが、それぐらい衛生面やトイレが大事なものであることは確かである。
先にも述べたが、約1年間で2週間ということは、人生80年で計算した場合、合計すると一生のうちで約3年になるということである。
不動産投資家の視点から考えると、中古物件にて空室になってそのまま管理費等支払い続けるのであれば、工事費を前払いしその後の収益を期待してみてはいかがだろうか。女性のみならず男性も、最近は洋式トイレを望む時代である。わざわざ和式トイレに入居したい人は少ないだろう。
眞喜屋朱里(税理士、眞喜屋朱里税理士事務所代表)
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