年間売上の最大4割が集中する
ブラックフライデー当日は、いつもの営業時間を繰り上げ早朝から店舗をオープンさせることが慣例だったが、年々セールを巡る競争は激しさを増し、日付が変わった深夜0時に営業をスタートさせる動きも出てきている。一斉に開いた店舗の扉を、多くの客がお目当ての商品まで駆け足で急ぎ、大きな液晶テレビをショッピングカードで運ぶ消費者の姿をニュースで目にしたことがある人もいるだろう。アメリカの小売大手のウォルマートは、ネットでのセール時期をさらに前倒しして、16年は感謝祭の早朝から特売をスタートさせる方針。
お祭りとして最高潮の盛り上がりを見せるブラックフライデーのショッピングだが、人々が熱狂するのは、単に商品が安くなるからというわけではなく、普段は値引きをしないブランドも参入するからだ。また、プラダ、フェラガモといったラグジュアリーブランドもブラックフライデーに乗り出しており、普段は手が届きにくい高級ブランドの商品を手に入れるチャンスでもある。
アメリカの小売業者の多くは、11-12月の年末商戦において、年間売上高の20-40%をたたき出すといわれ、そのスタートにあたるブラックフライデーがいかに重要であるかということがわかる。そのため、割引率を引き上げたり、営業時間を繰り上げたりすることで消費を喚起し、クリスマス商戦に弾みをつけて売上を伸ばす戦略を取っている。
イオンモールの注目「ゴディバ、コーチ、はなまる」
コーチのバッグ9600円、高級チョコレート・ゴディバの特別セット3000円、「はなまる」のかけうどん96円(いずれも税込)-16年11月25日から27日まで初めてブラックフライデーを開催するイオンモールの主な目玉商品だ。イオンに先駆けトイザらスは2014年からブラックフライデーセールに乗り出すなど国内の小売業者にも浸透しつつあるが、16年は最大手のイオンの参入により、今後、日本でブラックフライデーが定着するかどうかの試金石となりそうだ。
お隣の韓国では、15年に政府が主導してブラックフライデーを実施。消費の喚起に大きな期待が寄せられたが、高額家電やブランド品がセール対象外となった店舗も多かったほか、値引き率を引き立たせるため、商品を値上げした上で割引を実施するなど消費者が混乱する表示もあり、盛り上がりに欠けた。
日本はアメリカとは異なり、ブラックフライデーは平日のセールにあたり、消費アップ効果が限定される可能性がある。そこで、消費者が買い物をする時間を確保できるように、経団連や政府も新たな施策に乗り出す。17年2月には従業員の定時前の退社を促進し、買い物や趣味といった余暇の時間を確保する「プレミアムフライデー」の導入を始める。毎月末の金曜日限定とするこの制度で、働き方を見直すとともに、消費の拡大につなげたい狙いだ。
アメリカではクリスマス商戦の起爆剤としてブラックフライデーが、消費喚起のけん引役となっているが、消費習慣が異なる日本でどこまで広がりを見せるかは未知数だ。一方、ハロウィンのように近年急速に市場規模が拡大しているイベントもあり、イオンに続いて各社の参加が相次げば、日本でも一大ショッピングの動きとなる可能性を秘めている。(ZUU online 編集部)