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(写真=PIXTA)

親と介護のために同居。高齢化社会を迎える現在、他人事ではない。住宅ローンを組まない増改築でも、税制優遇される制度がある。住宅特定改修特別税額控除という。

住宅特定改修特別税額控除の3種を解説する。要件を満たせば改修工事等の標準的な費用の額の10%相当額を所得税額から控除できる。ただし改修工事等の標準的な費用の額は補助金控除後の金額が50万円を超えることが要件とされている。順次チェックしてみよう。

省エネ改修工事の要件

居室の窓の改修工事、またそれに併せて行う床、天井、壁の断熱工事で改修部位がいずれも1999年基準以上の省エネ機能となり、かつ改修後の住宅全体の省エネ性能の現状から1段階相当以上あがるものとなる。改修工事限度額は250万円となる。控除限度額は25万円である。

省エネ改修工事の標準的な費用は、国土交通大臣または経済産業大臣が定めた金額がある。具体的には、窓の断熱性、天井の断熱性、ヒートポンプ式電気給湯器の設置工事、ガスエンジン給湯器の設置工事、太陽光発電の設置工事など区分されている。

また省エネリフォームの地域区分も詳細に分かれているので自分の地域や工事内容をWebサイト確認する必要がある。

バリアフリー改修工事の要件

50歳以上の人で、要介護、要支援の認定を受けている人、障害者である人のいずれか、または65歳以上の人と同居している人は、次の改修工事を受けた際所得税の控除を受けることができる。例えば、廊下幅の拡幅、階段の勾配の緩和、浴室改良、便所改良、手すりの設置、屋内の段差解消、引き戸への取り替え工事、床表面のすべり止めなどである。

しかし、いずれも住宅品質確保法に基づく登録性能評価機関などの証明が必要となるので工事の際確認することを忘れてはならない。改修工事限度額は200万円であり、控除限度額は20万円である。

標準的な費用の額の具体例は、廊下幅の拡幅は1平方m当たり17万2700円となり、150cm以上の手すりの設置は、1平方m当たり1万9200円となる。バリアフリー工事の標準的な費用は、国土交通大臣、経済産業大臣が定めた金額が国土交通省告示第384号に明記されている。

多世帯同居改修工事の要件

キッチン、浴室、トイレ、玄関のうち1つ以上設置、増設後には必ず2つ以上となっている必要がある。改修工事限度額は250万円となり、控除限度額が25万円である。多世帯同居改修工事は、2016年4月から2019年6月までに居住開始していることが要件である。

標準的な費用の額は、調理室を増設する工事の場合は、ミニキッチンを設置する工事以外の工事の場合は、164万9200円、ミニキッチンを設置する工事の場合は、43万4700円である。浴室を増設する工事の場合には、給湯設備の設置・取替を伴う浴槽の設置工事の場合は140万6000円、給湯設備の設置・取替を伴わない浴槽の設置工事の場合は83万7800円、浴槽がないシャワー専用の工事の場合は、58万9300円となる。

また、トイレを増設する工事の場合は、53万2100円となる。玄関を増設する工事の場合、地上外の場合は、65万5300円、地上階以外の場合には、124万4500円と細かく決められている。

これらの税制は、住宅ローンがあっても選択適用で控除を受けることができる。これらの要件を満たして、住宅ローン控除を受けている場合には、増改築の工事費用が100万円を超えており、控除限度額400万円。最高4000万円の1%の10年までは、所得税の住宅ローン控除が受けることができる。

控除不足があれば、住民税のローン控除も最高13万6500円までうけることができる。増改築も当然、自己の所有物に対してのみ控除を受けることができる制度のため、妻、夫、親の所有物であれば控除をうけることができない。

眞喜屋朱里 (税理士、眞喜屋朱里税理士事務所代表) この筆者の記事一覧

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