長時間労働や低所得に苦しむ大学教授が英国で増えていることが、英メディアの報道や現役教授の告白から明らかになった。

「時給に換算すると5ポンド(719円)」「(元々)経済的に余裕がないと、オックスフォードやケンブリッジの教授職では食べていけない」といった衝撃的な事実が発覚しており、教授の世界でも広がりつつある所得格差が浮き彫りになっている。

副業、残業で生活費を稼ぐ教授が増加

英ガーディアン紙で苦境を語った大学教授は、時給14ポンド(約1590円)という契約にありつけたものの、初年は1クラスしか受け持ちがなかったという。その後講義を週4つに増やしたが、それでも合計週5時間、90ポンド(約1万221円)の給与にしかならず、結局は山のようなテスト採点や生徒からの質問といった「副業」で生活をしのいでいる。

また週20時間は無料で、自分の講義を受けている生徒のサポートを行っている。労働力と時給を照らし合わせると、わずか5ポンド(約723円)と最低賃金にも満たない。

オックスフォード大学やケンブリッジ大学といった名門校でも、同様の問題に悩む教授がいるというから驚きだ。英研究型公立大学24校から成り立つ「ラッセル・グループ」加盟校は、一般的に非加盟校よりも給与が高い。平均的な英大学教授の年間所得が4万4860ポンド(約649万円)であるのに対し、加盟校教授の所得は5万から5万4000ポンド(約723万から782万円)だ。

しかしオックスフォード大学関係者の投書によると、オックスフォード大学教授の所得中央値は、全国平均以下の4万5000ポンド(約651万円)。2015年の英国平均所得、2万7600ポンド(約399万円)をはるかに上回るが、これらの大学がある都市の住宅費がロンドンと肩を並べるぐらいに高いという点を考慮すると、「名門校の教授=裕福」というイメージとはかけ離れた生活を余儀なくされているという。必要な生活費を稼ぎだすために、新任教授時代には週75時間にもおよぶ残業をこなしたそうだ。

英政府が検討中の、生徒のフィードバックや卒業生の所得に基づいて教授の給与を決める新システムが導入されれば、所得格差がさらに拡大されることになる。英国で無職、あるいは低所得の大卒生が急増している背景から、大学教授への圧力が増すことは確実かと予想される。(ZUU online 編集部)

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