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(写真=PIXTA)

政府が酒税法のビールの定義を変え、従来の麦芽比率「67%以上」から「50%以上」とすると毎日新聞が報じた。第3のビールなどが一部健闘しているが、国内のビール類市場全体は1994年の約705万キロリットル(ピーク)から、2015年には537万キロリットルにまで減っている。2017年度税制改正大綱に盛り込み、18年度から実施する。

今回はその他にも原料の規定も緩和、果実(果肉・果皮)や香辛料も加える事ができるようにする。メーカーに商品開発を促す狙いがあるようだ。

小規模メーカー、クラフトビールに影響

現在人気を集めている「クラフトビール」の中には、香辛料など原材料以外の物が使われているため、「発泡酒」として販売しているものもある。ただ麦芽比率が50%以上ならビールと同じ税額を適用されるので、これまでは発泡酒と表示しなければならないのに、ビールと同じ高い税率を課せられている商品もあった。

大手メーカーの発泡酒はたいてい麦芽比率が25%以下のため影響はないが、小規模メーカーにとっては大きな変更だ。これまで「発泡酒」として売られていた一部商品も「ビール」として販売できるようになるため、イメージアップが期待されるのだ。

税額も統一、区分も見直しへ

同時に税率も変更する考えで、2020年からは3回に分け、発泡酒と第3のビールを含む3区分の税率を変更する。

ビール類は原料や製法により、税率が異なる。区分はビール・発泡酒・新ジャンル(第3のビール)だ。このなかで最も高いビールの税率は350ミリリットル缶当たり77円、発泡酒(麦芽使用比率25%未満の場合)は47円。一方の第3のビールは28円となっている。これを2026年10月には350ミリリットル当たりの税率を55円程度に一本化する模様だ。

具体的に大手ビールメーカーの350ミリリットル商品の平均値を見ると、ビールが221円、発泡酒が164円、第3のビールが143円。税額を一本化すると、ビールは値下がりして199円になり、発泡酒は逆に値上がりして172円に。第3のビールは税額が倍近いため、170円になる。

今後は「第3のビール」は「発泡酒」と同じ税額となり区分もなくなるため、「ビール」と「発泡酒」の2区分に簡素化される。区分変更よりも税額の統一のほうがメーカーへの影響は大きいだろうが、いずれにせよ出荷量の減っている現状から今後どう巻き返していくのか、各メーカーの動向が注視される。(ZUU online 編集部)