男性の脱毛やムダ毛ケアは、一昔前では考えられないほど浸透してきている。特に最近では20代男子の間で、胸毛やすね毛などに限らず、「アンダーヘア」を処理する人が増えてきているらしい。
女性なら身だしなみとしての一般的な処理ポイントとも言えるだろうが、おそらく30代以上の男性にとっては意外かもしれない。
今の20代男子は体毛ケアに積極的な傾向、東京ではアンダーヘアケアも多くが認知
男性向けの総合美容医院ゴリラクリニックが9月~10月ごろ、インターネットで東京と名古屋に在住の日本人の20代男性を対象に体毛ケアに関するアンケートを実施した。20代男子は7割以上が自分のムダ毛を気にしていることが分かった。特に東京の20代男子に限ると、これも7割以上の回答者がムダ毛を処理していると回答している。
さらに東京の20代男子は、アンダーヘアケアを行う割合も名古屋の割合より断然多い。進んだ情報が集中する東京では、アンダーヘアの処理を男性も行うことが一般化してきているようだ。
一昔前だと、男が脱毛など毛の処理を行うことに対しては、男らしくないなどの理由でどちらかと言うと否定的な意見が多かったかもしれない。しかし現在は、友人が専門店で脱毛処理をしていることに対して好印象を抱いている男性が、20代では6割を超えている。
これには、女性のムダ毛に対する価値観と欧米エチケット文化の浸透が関係しているようだ。
もちろん男性向けのクリニックが実施しているアンケートではあることは差し引く必要があったとしても、一昔前とは常識が変わりつつあると認めてもいいのかもしれない。
女性はやっぱり男性の体毛を気にしている?
ゴリラクリニックが以前女性向けに行った男性のムダ毛に関するアンケート調査によると、全体の約9割以上が男性のムダ毛に嫌悪感を抱いていると言う。ほぼ全員だ。
約30年前のバブル時代であれば、女性なら誰もが、収入が高く学歴が高い・さらには背が高いといったいわゆる「3K(3高)」を理想の男性像として望んでいた。あらゆるステータスが高い男性に、女性を積極的に引っ張っていくようなワイルドさを求めていたようだ。
しかし今や時代は情報技術の世の中、老若男女、誰でもインターネットを利用することで高いステータスを手に入れることができるようになった。男性に求めるものも強さと言うよりも、物腰の柔らかい優しさ・清潔感などに変化してきているのではないだろうか。
性別に左右されないセンスを楽しむジェンダーレスが注目される昨今、女性は男性に対する清潔感を求めるようになり、アンケート結果のようにムダ毛の処理をしている男性が好印象と感じる女性が増えている結果となっている。
さらにアンケートの傾向を細かく夫や彼氏のムダ毛で気になるところを集計すると、鼻毛や耳毛・胸毛などが上位に入るが、約3割の女性は手入れしていないアンダーヘアを挙げている。
女性が男性の体毛で清潔感を求める箇所に、今の時代男性のアンダーヘアの存在感が増してきているのは事実なのだ。
ムダ毛処理に関する欧米のエチケット文化とは?
若い世代の男性にとって美容意識の高まりは、世界基準に合わせた動きだとも読み取れる例がある。
サッカーの日本代表でありヨーロッパを中心とした海外リーグで活躍するスタープレイヤーたちが、欧米選手のエチケットに合わせ剃毛していることは有名だ。これを手本とし、一般の男性達の間にもアンダーヘアケアすることが浸透してきているのだ。
スポーツ選手でなくても欧米では剃毛することが一般的だと言う。衛生面を考えての理由だ。欧米の方から見ると、日本人が剃毛していないことに関してかなり違和感を覚えることもあるらしい。
グローバルスタンダードという価値観は、今や企業活動やスポーツの世界においては基本的な考え方として定着していると言えるだろう。
ムダ毛の処理など衛生面においても、欧米を中心とした世界基準を意識しておくことは基本スタイルとなってきているのかもしれない。
総合的な利便性で今アンダーヘアケアの需要は高まっている
アンダーヘアケアを施しておけばトイレの後処理は楽になる。また、臭いなどに対する清潔感や、衣服などにも引っかかることのない解放感といった面でメリットが多い。女性からの印象も良くなる場合が多く、欧米基準でも違和感なく交流することが可能だ。
今回は20代男子がアンケートの対象と言うことだったが、30代や40代以上の男性にとってまったく関係ない話ではない。婚活中の30代以上男性であれば、アンダーヘアケアしておくことで相手女性に対し清潔感ある印象を与えることができるかもしれない。
ビジネスの面でも、30代や40代・50代といった企業の中枢を担う世代にとって、グローバルなビジネス展開に向き合った際はアンダーヘアケアが役に立つ場面がないとも言えないだろう。
若い世代の流行りだからと軽視するのではなく、どのような話題にも対処でき、どんな世代のどの国の経営者とも渡り合うため、何歳になろうとも時代の先端情報をチェックしておくことは重要だ。(藤瀬雄介、スポーツ・ヘルスケアライター)
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