日経平均予想ジ レンジ 18,578 ~ 19,250 円
今週は、イタリア国民投票後の欧米株が堅調に推移した上、円安基調を維持した為替相場を好感して、日経平均は昨年12月30日以来、19,000円台を回復した。NYダウの史上最高値更新を追い風に世界的にリスクオンムードが強まっている。
海外の焦点
重要イベントの11月米雇用統計は、17.8万人増(予想18万人増)と市場予想並みの水準を保った。失業率も4.6%と約9年ぶりの水準に改善し、FRBが12月利上げに踏み切る下地はほぼ整ったと見られる。
FRBは平均賃金が前月比0.1%減と伸び悩んだため、緩やかな利上げペースを維持し、年2回見込んでいる一方、世界有数の米金融機関では、トランプ次期政権が巨額の財政拡張を掲げ、インフレ→利上げ加速の流れを先取りして年3回を予測している。基本的には追加利上げ観測が強いうちは、ドル高・円安基調の継続から東京市場にとっては追い風となろう。
4日にイタリアで実施された憲法改正の是非を問う国民投票は反対派が勝利したことを受けて、レンツィ首相は辞意を表明した。英国のEU離脱と異なりネガティブサプライズには至らなかった。だが、不良債権問題の解決を進めてきたレンツィ首相が辞任することで、イタリアの銀行改革の足踏みが懸念される上、勝利した「5つ星」陣営の大半はEU懐疑派と言われるだけに、EU離脱への漂流や金融市場の波乱の火種になる点には警戒が必要であろう。
国内の焦点
日本株を取り巻く需給は良好だ。二市場残高は8~9月は2.25兆円付近で推移した後、12/2現在、2兆円と減少傾向にある。この間、信用倍率は8月の3.7倍から月ごとに売り残が増加し、12/2現在、2.23倍と上値切り上げ相場と並行して取り組み妙味が増している。日銀は今月に入り、ETFの買い規模を1回あたり706億円から742億円に拡大している。まだ買い余力は十分あるだけに好需給を背景に買い方優位の局面は持続しそうだ。
足元の相場は、もち合いを上放れた。売買代金は連日の3兆円を超え、強気相場を援護している。節目の19,000円が上値目処になりやすいが、昨年12月水準の19,500円近辺までチャート上の節目は無い。当面、多少の調整を入れながら上値を試す展開が想定される。
来週の株式相場
以上、来週は、良好な投資環境を背景に年末ラリー本格化が期待される。日経平均のレンジは上値は200日線との+15%乖離19,250円が意識され、下値は5日線18,578円が目処となろう。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券
チーフストラテジスト