京都。清水寺で毎年発表される今年の漢字(日本漢字能力検定協会発表)は、リオオリンピックや東京都知事の政治資金問題などから「金」に決まった。このほかにも「ビジネス版」の2016年の漢字もアンケート調査して発表されている。
果たしてこちらには何が選ばれたと思われるだろうか。
ビジネスパーソンが選んだ漢字1文字は「乱」
調査したのは人材サービスのVSN。インターネット上で「2016年を振り返る ビジネスパーソンの意識調査」を実施し、10代から50代のビジネスパーソン4296人から回答を得た。
全国のビジネスパーソンが選んだ漢字1文字の1位には「乱(ラン・みだれる・みだす)」が選ばれた。2位には「迷」、以下「揺」、「不」と続くが、不安定さを表す漢字が多く選ばれる傾向があった。
10位 選
9位 輪
8位 動
7位 進
6位 挑
5位 新
4位 不
3位 揺
2位 迷
1位 乱
様々な乱れを反映か
1位に「乱」が選ばれたが、まさしく2016年は「乱」が目立つ出来事が多かった。アメリカ大統領選ではヒラリー氏とトランプ氏が激しい選挙戦を展開したが、当初の下馬評を覆しトランプ氏が当選した。トランプ氏はTPP離脱や、アメリカの世界の警察の役割の再考、メキシコとの国境に壁を作る等、様々な政策を表明しており、従来の世界の秩序が乱れる可能性がある。
イギリスではEU離脱を問う国民投票が実施され、投票の結果離脱が決定した。ヨーロッパが一体となって取り組んできたヨーロッパ連合の足並みに乱れが見え始めた形だ。イギリスのEU離脱決定を機に他の加盟国でも同様の動きもみられ、アメリカと同様、保護主義が台頭しつつある。まさに世界の秩序の乱れが始まったかのようである。
残念ながらイスラム国の活動も長期にわたり続いており、世界の秩序・治安の乱れにもつながっている。
日本国内では熊本地震が発生した。震度7を観測したこの地震の影響で混乱が生じた。「ポケモンGO」使用中の死亡事故なども発生しモラルの乱れも見られた。
2位となった「迷」や3位の「揺」、4位の「不」もこうした世界情勢の迷い、動揺、不安等を反映して選ばれたようだ。
5位には「新」が選ばれた。こちらの漢字はマイナスのイメージではなく、プラスのイメージがある。トランプ新大統領への期待や、新東京都知事小池百合子氏への期待などの新しい風に期待が集まっているようだ。
ビジネスパーソンが選んだ漢字2文字は「変化」
今回の調査では全国のビジネスパーソンが選んだ漢字2文字も同時に調査がなされた。ビジネスパーソンが選んだ漢字2文字の1位には「変化」が選ばれた。2位には「不安」、以下「疲労」、「忍耐」と続いた。
10位 進化
9位 幸福
8位 我慢
7位 停滞
6位 成長
5位 挑戦
4位 忍耐
3位 疲労
2位 不安
1位 変化
世界の変化を反映
ビジネスパーソンが選ぶ漢字2文字では1位に「変化」が選ばれた。こちらも世界情勢の変化が反映された格好だ。
上記にも紹介したアメリカ大統領選やイギリスのEU離脱はもちろんだが、その他にも多くの変化が2016年にはあった。日銀はマイナス金利政策を国内で初めて導入することを発表し、金融政策に大きな変化があった。政治では新政党「民進党」が誕生するなどの変化もあった。
天皇陛下が生前退位のご意向を示されたことも大きな変化だ。実現にはまだまだ議論が必要だが、これまでの天皇制が大きく変化していく可能性は高い。
2位には「不安」が選ばれた。1位に紹介した様々な変化の結果、先行きに不安を感じている人も多いことが分かる。世界経済は現在のところトランプ次期大統領就任に対して歓迎ムードが広がっているが、2017年1月の就任式以降のトランプ氏の政策次第では不安が世界を席巻することも考えられる。
イギリスのEU離脱に関しても実際に離脱するのは当分先の話であり、今後もEU離脱に関わる不安が再熱する可能性もある。
3位には「疲労」が選ばれた。デフレ経済脱却が長期間続いており国民も疲労が続いている。熊本地震の際の車中泊や避難所生活などの疲労や、天皇陛下のご公務に対する疲労なども反映されたようだ。
4位には「忍耐」が選ばれた。物価の上昇や実質賃金の上昇は予定通りに進まず、景気に関してもマイナス金利が続くなど未だ景気の明るい展望は見えてこない。このような状況下で少子高齢化や人口減なども相まって相当な忍耐が必要な環境となっている。
5位には挑戦が選ばれた。リオオリンピックでは、選手たちの挑戦の結果日本は金メダル12個を含む史上最多の41個ものメダルを獲得した。
2016年を振り返る漢字はいかがだっただろうか。今年はアメリカ大統領選やイギリスのEU離脱など、歴史的な出来事が多くありその結果を反映した漢字が多く選ばれた。2017年は「乱」、「変化」を経て良い年になることを切に願いたい。(ZUU online 編集部)
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