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(写真=PIXTA)

社員や役員が居住する家賃を一部会社が負担する「家賃補助(住宅手当)」ですが、どのくらい支給すべきなのか、一般的にいくらなのかと疑問に思ったことがあるかもしれません。

今回は家賃援助を導入している企業の割合や傾向、そして平均金額を解説していきます。

家賃補助導入企業の割合と傾向

少子高齢化の現代、優秀な人材を確保し育てることは企業にとって大きな課題となっています。また求職者は仕事内容や給与だけでなく、働きやすさを求め福利厚生を重視して企業を選ぶ時代になりました。

そういった中で、以前からある代表的な福利厚生制度の一つであった家賃補助ですが、現在では導入する企業は減少傾向にあります。厚生労働省が発表した『平成27年就労条件総合調査結果』によると、家賃補助を支給した企業の割合は40.7%となっています。これは2010年調査時の41.2%より0.5ポイント低下、2005年の44.8%からは4.1ポイントもダウンしているという結果です。

家賃補助制度が減少傾向にある理由は主に以下3点です。

1. 家賃補助は課税対象

家賃補助もしくは住宅手当は同一のもので、給与の一部とみなされるため課税対象です。福利厚生の手当には一部非課税となる条項があるのですが、住宅手当に関してはこれらのいずれにも該当しないため、実質的に家賃補助・住宅手当ともに課税されてしまうのです。そのため従業員にとっては福利厚生といいながら給与と大差なく、あまり意味を成していないというのが現状です。

2. 家賃補助は急にカットすることができる

給与所得の場合は減額する際にはそれなりの理由が必要ですが、家賃補助の場合には「福利厚生費の削減のため」という名目でカットすることも可能です。家賃補助は、福利厚生の中でも真っ先に経費削減の対象となりやすいのです。そのため「突然なくなるかもしれない家賃補助ではなく、基本給が高い企業」への求職者ニーズが高まっており、その傾向に対応する企業が増えていることも考えられます。

3. 社宅の利用

社宅というと独身寮や、建物自体を法人契約しているものというイメージがあるかもしれませんが、マンションやアパートの一室のみを企業が借り、社員が住む借り上げ社宅が節税の面からも注目されています。外資系企業などではこちらのサービスが福利厚生として一般的なのですが、法人契約した物件を社宅として貸し出す際、入居者が家賃の一部を支払うことで非課税となるのです。

寮などはプライベートを重視する若い世代を中心に忌避されていましたが、借り上げ社宅の場合には各々のプライバシーを確保することができることから見直されています。この場合には企業が賃料を不動産会社に支払い、入居者は家賃の一部を会社に支払うので、従来の「家賃補助」には当たらないのです。

平均は1~2万円。意外と少ない家賃補助

厚生労働省省の調査によると、2015年の平均支給額は1万7,206円となっています。2010年の調査では1万6,890円でしたので、平均金額としては少し増加したということになります。企業規模が大きいほど支給平均額も大きく、業界では情報通信業、サービス業、不動産業・物品賃貸業の家賃補助が高い傾向にあるようです。もちろん求人条件や年度、地域、役職により金額は変動し、支給自体がない企業もあれば10万円という企業もありますので、あくまで平均と考えるようにしましょう。

最近では導入自体が見直されている

家賃補助の平均額と、最近の動向について紹介してきました。以前は福利厚生の王様だった家賃補助ですが、現代では導入自体が見直されつつあります。

社員にとって補助はありがたいものですが、福利厚生として企業・社員双方が納得できる形・金額で支給できるようにしたいものです。(提供: フクリ!

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