固定資産税は賦課課税制度を採用しているため、納税時期が近づくと納付通知書が送付される。この時期は固定資産の所在する市町村によって異なり、転居などに際して納税時期が変わると支払いを忘れてしまう可能性がある。意図的に税を滞納した場合は元より、こうした不慮の事故によって支払い忘れてしまった税にも期間などに応じて延滞金が課されることとなる。

今回はこの延滞金の詳細を解説すると共に、税金を滞納してしまった場合の対処法などを紹介する。もしも現在滞納している税金があるという方は、ぜひこれを参考に速やかな対応を取っていただきたい。

固定資産税の延滞金とは(計算方法や税率)

固定資産税を滞納すると、その期間に応じて次の計算が行われ、延滞金が決定される。

平成25年12月31日以前

延滞金=((税額×日数A×特例基準割合)÷365日)+((税額×日数B×14.6%)÷365日)

日数Aとは、納期限の翌日から1か月を経過する日までの期間の日数のことを指し、日数Bとは、納期限の翌日から1か月を経過した日から納付日までの期間の日数のことを指す。

例えば、税額が20万円、納付期限が平成23年2月28日、納付日が平成23年4月27日の場合は、次の式により延滞金が計算される。

((20万円×31日×4.3%)÷365日)+((20万円×27日×14.6%)÷365日)

=730円+2160円=2890円

なお100円未満の端数や全額が1,000円未満の延滞金は切り捨てる為、この計算によって最終的に求められる延滞金は2,800円となる。

平成26年1月1日以後

延滞金=((税額×日数A×(特例基準割合+1%))÷365日)+((税額×日数B×(特例基準割合+7.3%))÷365日)

日数A、日数Bは同上である。例えば、税額が20万円、納付期限が平成27年2月28日、納付日が平成27年4月27日の場合は、次の式により延滞金が計算される。

((20万円×31日×2.8%)÷365日)+((20万円×27日×9.1%)÷365日)

=475円+1346円=1821円

よって、この計算によって最終的に求められる延滞金は1,800円となる。

計算中で用いられている「特例基準割合」とは、財務大臣が毎年告示する割合に年1%の割合を加算したもので、具体的には次の表のように定められている。ここに挙げたもの以前の期間に充てられた特例基準割合については、各市町村や国税庁ホームページを参照してほしい。

期間 特例基準割合
平成26年1月1日~平成26年12月31日 1.9%
平成27年1月1日~平成27年12月31日 1.8%
平成28年1月1日~平成28年12月31日 1.8%
平成29年1月1日~平成29年12月31日 1.7%

固定資産税を滞納した場合のリスクとは

延滞金の計算例を見て、思ったよりも少ないなと感じた方もいらっしゃるのではないだろうか。平成25年度以前については2か月間でおよそ3000円、延滞金の軽減された平成26年以降では同期間でおよそ2000円となっている。

これは対象となる税額によって異なるものの、仮に延滞金が課せられたとしても、即座に固定資産税納付に支障を来すほどの額ではないと言えるだろう。

しかし、固定資産税を滞納した際に本当に考えるべきリスクとは、延滞金の多寡ではない。それは、固定資産の差し押さえである。差し押さえに際しては事前の督促なども行われるため、事前告知もなく差し押さえが執行されることはない。

また、実際に固定資産が差し押さえられる基準は固定資産税を課税する各市町村などによって異なるため、一概にどれほどの税金を滞納した場合に差し押さえが発生するか、ということを論じることもできない。

とにかく、税金を滞納するということは、相応のリスクを伴うということを理解しておく必要があるだろう。

固定資産税を滞納している場合の対策

もしも現在滞納している固定資産税がある場合、金銭的な余裕があるのであれば速やかに市町村役場などへ赴きこれを支払うべきだ。しかし、さまざまな事情によりこの納付が難しい場合には、理由によっては納税の猶予を受けることができる。

納税の猶予が認められる要件は、財産が災害を受けたり、盗難にあったとき、あるいは納税者本人や、生計を一にする親族が病気になったり、負傷したとき、事業を廃止、あるいは休止したとき、事業に著しい損失を受けたとき、上記に類する事実があったとき、といった具合である。

このような場合においては、各市町村の役場窓口へ事情を申請することで税の分割納付が認められる。また、延滞金も減額、一部期間については免除といった猶予を受けることができるのである。

固定資産税滞納と時効の関係

固定資産税に限らず、税金には時効が存在する。正確にはこれを納税義務の消滅といって、この消滅時効は納税義務が発生した日より5年(一部地方税は3年)で完成すると定められている。

では、課せられた税金について、5年間納付しなければこの時効はいかなる場合でも完成するのかというと、そうではない。

時効期間は督促や差し押さえがあった場合には中断され、猶予等を受けている場合には停止される。そのほか、一部税額を納付した場合なども、この消滅時効は中断されてしまう。

もしも税金を滞納してしまった場合は時効などを期待するのではなく、不要なリスクを背負うことのないよう、速やかに各市町村役場窓口へ相談するのが良いだろう。(ZUU online 編集部)