失業保険(失業給付)は、雇用保険の被保険者だった期間や離職の直接の理由、離職者の年齢によって受給できる期間(所定給付日数)が決定される。だが、離職後、所定給付日数が過ぎた後でも、失業保険を受け取ることができるように期間を延長することもできるのだ。どのような場合に延長することができるのか、どのような手続きで延長が可能になるのかについて解説する。

失業手当の受給期間とは

前述のとおり、失業保険はいくつかの条件によって給付を受けられる所定給付日数が決まる。所定給付日数が長くなると、支給総額も増えることになる。また、給付金額のベースとなる基本手当日額は、離職直前までの6カ月間の給与合計(賞与や祝い金などの一時金を含まない)によって決まる。

・会社都合またはやむを得ないと判断される自己都合
離職前の給与によっても多少異なるが、会社都合またはやむを得ないと判断される自己都合で離職した場合の所定給付日数は、基本的には90~330日となる。

・自己都合または会社に損害を与えて解雇された場合
転職したいという個人的な希望を実現するための退職など自分の都合による離職の場合や、会社に損害を与える重大な過失によって解雇された場合、所定給付日数は90~150日となる。加えて、支給開始も会社都合による離職と比べて3カ月遅くなる。

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受給期間の延長が認められるケース

では、どのようなときに失業保険の受給期間が延長されるのだろうか。

・病気やけがですぐに再就職ができない場合
失業保険を受給するには「すぐに就職できる状態」という条件がある。このため、例えば妊娠や出産、病気やけがのために30日間以上仕事できないときはこの条件を満たせないことになり、失業保険を受給することはできない。

ハローワークで求職の申し込みを行った後に傷病で15日以上働けない状態になり、失業保険を受給できなくなった場合は、ハローワークに申し出ることで「傷病手当」を受給することができる。

30日以上続いた場合は、失業保険の受給期間を最大4年間延長することができる。傷病が回復し、求職活動ができる状態になったら、失業保険の給付を受けられるようになる。

・妊娠・出産・育児ですぐに再就職ができない場合
妊娠・出産・育児などですぐには再就職ができない場合も、失業保険の受給期間を延長することができる。延長できる期間は最大3年間で、働くことができない日数だけ延長することが可能になる。

・公共職業訓練を受ける場合
失業保険を受給しているときには、ハローワークの指示などにより公共職業訓練を受けることができる。所定給付日数が終了する期間を超えても引き続き公共職業訓練を受ける場合は、その訓練期間中は失業保険を受け取り続けることができる。

例えば、所定給付日数があと50日で終わるというときに90日間の公共職業訓練を開始するならば、所定給付日数が終了した後も40日間分の給付を受けることができるようになる。さらに、公共職業訓練を受けている間は、日額500円の受講手当(上限2万円)も受け取ることができる。

受給期間の延長が認められないケース

病気やけがのために職に就けない状態になっても、14日以内に回復すればその間も失業保険が支給されるため、受給期間を延長することはできない。

また、傷病や妊娠・出産・育児などで失業保険の受給期間を延長したいと思っていても、それらの理由により仕事に就くことができなくなった31日目から1カ月以内に、その旨を管轄のハローワークに届け出なかった場合は受給期間の延長は受理されない。

本人がどうしても届け出に行くことができない場合は、代理人や郵送によって手続きを行うことも可能だ。

受給期間を延長する場合の手続き

受給期間を延長するには、ハローワークにある「受給期間延長申請書」と離職票、印鑑、状況を示す各種証明書を持ってハローワークに届け出る。

必要な各種証明書は状況によって異なるので、手続きに出かける前に必ず所轄のハローワークに電話し、どのような書類が必要になるのかを確認すること。やむを得ない理由で本人が行けない場合は、先に述べたように代理人や郵送によって手続きを行うこともできる。

延長手続きは期限までに行おう

受給期間の延長手続きを期限までに実施しないと、受給期間延長の資格があっても延長することができなくなってしまう。先に説明した期限までに必ず手続きを行おう。(ZUU online 編集部)

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