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(写真=PIXTA)

中国におけるトヨタ、ホンダ、日産の地位は、日本におけるイメージと大きく異る。上位をフォルクスワーゲン、GMに抑えられ、下位からは中国メーカーの追撃を受ける、安定感を欠いた中位メーカーにすぎない。

さらに3社の売上は三つ巴で大差ない。そんな中、地方紙に2017年日系3大ブランド(豊田、本田、日産)の販売戦略を斬るという記事が掲載された。主に新型車の紹介である。

中国自動車の動向

2016年、国内自動車市場は大幅な増収を実現した。11月の売上は259万台と単月の史上最高を記録している。日系3大ブランドの販売量も上昇した。しかし全体の売れ筋ランキングでも、タイプ別のそれでも、中位の前列あたりにしか顔を出してこない。

例えばSUV車の11月売上では、“日産奇駿(X-TRAIL)”がトップテンの10位に辛うじて顔を出すだけだ。本田CR-V、豊田RAV4はいずれも圏外である。工場別生産ランキングでも上位は、GM系、フォルクスワーゲン系工場ばかりで、ここでも“東風日産”の5位のみである。日系はあらゆる指標をとってもパッとしない。

以下メーカー別に新モデルについて見ていこう。

本田 CR-Vやジェイドなど

CR-V……生産工場・東風本田 2017年下半期投入予定。中型SUVのエースとして期待大。サイズでは全幅を1860mmに拡大する。デザインはホンダファミリーの特徴を継承している。内装も現行型の面影を残しつつアップグレードされた。最大の変更点は1.5Lターボエンジンを搭載することである。

UR-Vと冠道(AVANCIER)……生産工場・東風本田 2017年上半期投入予定。広汽本田生産の冠道(AVANCIERとは双子車で、兄弟車戦略を採用した。CRVと連携して“最強SUV陣容”を形成する。全幅は1920mmとCR-Vより一回り大型。1.5L、2.0Lのターボエンジンを搭載予定。

杰徳(JADE)……生産工場・東風本田 2017年1月5日投入予定。新型1.5Lターボエンジン車を追加投入。

豊田 カムリやヴィッツセダンほか

凱美瑞(カムリ)……1月の米国モーターショー次第だが、2017年末の投入予定。典型的なセダン。全世界で好調な販売を誇る。新型2.0Lターボエンジンエンジンを搭載、軽量化TNGAプラットフォームを採用する。デザインを含め、現行型より大きく進化する。外観は若い消費者層の審美眼に迎合した新しい感覚。燃費経済性、操縦性は大幅に向上する。

致亭L(ヴィッツセダン)……生産工場・広汽豊田 2017年第一四半期投入予定。 ヴィッツの3ボックスセダン。雰囲気は2BOXと変らない。激戦の小型車市場に投入。

加羅拉(カローラ)……生産工場・一汽豊田 2017年上半期投入予定。豊田ファミリーカーの典型的存在。全世界の累計売上は4000万台を超える。モデルチェンジの注目度は高い。エンジンは1.2L~1.8L、これまでと変わらず。ハイブリッドもラインアップされる。

鋒勢(VIOS)……生産工場・一汽豊田 2017年4月投入予定。2BOXのエントリーモデル。ヴィッツとは双子車戦略を採る。

日産 X-TRAIL、マーチ

奇駿(X-TRAIL)……生産工場・東風日産 2017年下半期投入予定。2014年の発売以来、売上は上昇を続けてSUVのトップクラス。外装の変更や安全性を高めたマイナーチェンジで競争力の強化を目指す。2.0L~2.5Lエンジンに加え、ハイブリッドも投入。

瑪馳(マーチ)……2017年末に投入予定。車体を1回り大きくし、激戦の小型車市場に挑む。従来の1.0Lエンジンに加え、0.9L、1.5Lターボエンジンも搭載する。

日産はX-TRAILのマイナーチェンジに賭け、ホンダはCR-VのフルモデルチェンジとURーV兄弟でそれを追う。トヨタはセダンや小型車ばかりでSUVの投入予定はなし。新型カムリは年末投入では戦力にはならない。それに小型車は最も競争が激しく苦戦は必至だ。

日産は新車投入が少ない。3社の中ではSUVラインナップの充実を図るホンダが最も期待できそうだ。記事は日系3大ブランドの人気は“不断”に上昇中で、2017年は期待できる、と結んでいる。中位メーカーながら注目度は高いのである。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)