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(写真=John Kershner/Shutterstock.com)

2016年の日本スポーツ界は、4年に一度のスポーツの祭典「リオデジャネイロオリンピック」やサッカーワールドカップ・アジア最終予選、テニスやフィギュアスケートなどでの日本人選手の活躍など、大いに盛り上がった。

スポーツのライブストリーミングサービス・DAZN(ダ・ゾーン)が行った「2016年の振り返り スポーツに関する意識調査」を見ると、今年の日本スポーツ界を象徴するさまざまな出来事が、人々の心にどのように強く影響を与えたのかがよく分かる。

中でも特筆すべきなのが、数ある質問で回答に名前が挙がった「イチロー」だ。イチローの人気は今年に限ったことではなく、何年も前から野球に関する前人未到の記録を打ち立て続ける様が、日本人の心に常に勇気を与えている。

40歳を超えてもなお人々を魅了するその人柄とエネルギーは、一体どのようにして形成されているのであろうか。

ビジネスパーソンに今最も求められていると言っても過言ではないビジネススキル「リーダーとしての資質」。アンケート結果から見えてくるイチローの魅力を分析し、ビジネス界に求められるリーダーの資質とは何なのかを考えていきたい(文中敬称略)。

この調査は、全国の10~50代のスポーツファン(週に1回以上スポーツをする、または観戦する=テレビや動画などを含む=男女)、回収サンプル数は1030。調査は12月上旬にネットで行われている。

人々の心に深い感動を刻んだ打撃成績とストイックな姿勢

2016年最も印象に残ったスポーツの瞬間の2位に選ばれたのが、「イチロー、メジャー史上30人目の3000安打達成」だ。マーリンズに所属するイチローは、2016年の8月7日にメジャー通算3000安打を達成し、日米両国の野球ファンに大きな衝撃と感動を与えた。

これはアンケートの回答数1位が「広島東洋カープの25年ぶりのリーグ優勝」だったことを考えると、個人の間では最も人々の印象に残った瞬間を生んだスポーツ選手だと言えるだろう。

さらにイチローは、今年のMVPを表彰したいスポーツ選手というアンケート結果でも、大谷翔平と錦織圭に続く3位の回答数を得ている。ただ、大谷翔平と錦織圭は、一般的に考えてもまだ20代で気力・体力に恵まれた状態だ。

しかし、イチローは既に40歳を超えているにもかかわらず、普通のスポーツ選手なら既に引退しているか格段に気力・体力が衰えているところを、超人的とも言える身体パフォーマンスを維持している。

年齢を重ねても、メジャーという大舞台で真価を発揮するその集中力と意識の高さに、30歳を超える大人たちは感動を覚え、尊敬の念を抱くのではないだろうか。

ビジネスでは常に結果を求められる。チームとして結果を出すためには、チームのリーダー自身がまず先頭に立ち、確固たるビジョンとゴールを指し示す必要がある。

そのリーダーが弱く自信のない様子だと、チームのメンバーも自分の能力・チームの能力を信じることができない。

リーダーがポジティブな姿勢で自信を持ち、周りの人間に明るい印象を与えながら行動する姿こそが、メンバーの勇気と健全な思考プロセスを生み出すのではないだろうか。

多くの人がイチローの発する言葉の重みや強さに共感する理由

イチローは他にも、自分の上司になって欲しい監督またはコーチは誰ですか、という質問に関し、日本ハムの栗山英樹監督に続いて2位にランクインしている。監督やコーチという指導的立場でもないし、ましてやまだ引退さえしていないのに。

さらに、今年のクリスマスを一緒に過ごしたい選手というアンケートに関しても、意外にも男性回答者が選ぶ1位にイチローが選ばれているのだ。

普通に考えると美人アスリートなどが選ばれる印象だが、男性達がイチローを1位に選んだ理由を見てみると、「人生論を語り合いたい」や「アドバイスをして欲しい」という意見が目につく。

若者達は、イチローがさまざまな場面で語る言葉に、自分たちと同じ目線からアドバイスを発してくれているというリアリティを感じているのではないだろうか。

イチローは常々、生まれ持っての才能だけでなく小さな努力を積み重ね工夫し続けることの尊さを、現状に留まらず進化し続けることの大切さという意味合いで語っている。

過去、スポーツにおいて偉大な成績を残してきた選手の中でも特にイチローは、才能があってもなくても誰にでもチャンスはあるということを言い続けているのだ。

努力によって栄光を掴み続けているイチローの言葉だからこそ、若い人から年齢を重ねた人までみんなが共感し、絶大な信頼を寄せているのかもしれない。

一流スポーツ選手から学ぶべきこと

イチローをはじめ、大谷翔平や羽生結弦・錦織圭など今年のスポーツシーンで活躍した日本人選手たちに共通していることは、自分を信じる信念や自己分析能力・積極的な修正意識などを持っていることではないだろうか。

なかなか強くなれないスポーツ選手はみな一様に、自分に自信がない・自己分析が甘い・間違いを認めようとしない、などの特徴を有している場合が多い。

これはビジネスパーソンにも同じことが言える。商談やプレゼンでの自信に満ちたコミュニケーションや自分のウィークポイントを認識し、改善する意識などがある人間は相手からの信頼も厚く成長も早い。

チームのリーダーとして業務をこなしている人や、これからリーダーとしてチームをまとめていかなければならない人などは、2017年以降も特にこのような一流スポーツ選手達の言動をチェックし、今後のビジネスに役立たせるべきだろう。(藤瀬雄介、スポーツ・ヘルスケアライター)

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