中国アリババの金融子会社、アント・ファイナンシャルがP2Pプラットフォーム「Zhao Cai Bao」をとおして販売した高利回り債の銀行保証状に、偽造の疑いが持ちあがっていることが、ロイターなど複数の欧米メディアの報道から明らかになった。

この騒ぎは広発銀行 (CGB)が12月26日、「保証状の公印および判子が偽物である」と警察に届けでたことから発覚したものだが、中国オンライン金融市場の規制の緩さを象徴する事件といえるだろう。

高利回り債の発行元は今月債務不履行に

問題になっている保証状は4500万ドル(約52億8975万円)相当の高利回り債が販売された2014年、CGB中国恵州支店で発行されたものだ。高利回り債の発行元である中国携帯電話メーカー、Cosun Groupは今年12月、債務不履行におちいっている。

CGBは12月26日、偽造公印を理由に「金融犯罪の疑いがある」として警察に通報。それ以前にアント・ファイナンシャルは保証引受先である中国大手、浙商損害保険会社(Zheshang Property and Casualty Insurance Company)に保証の再確認を行っており、浙商は自社のウェブサイトで本物のCGBの公印がついた保証状を所有していること、保証制度が適用されることを明らかにしていた。

P2Pを含むオンライン金融産業が急成長中の中国では、規制強化対策を投じるなど様々な試みが打ちだされている。しかし一般投資家間ではリスクに対する意識が低く、保証されているというだけで「安全」と頭ごなしに信用してしまうケースが多いという。

今月21日には同じく中国大手、シーランド・セキュリティーが、損害額24億ドル(約2820億9600万円)と見積もられている偽造債券契約の責任を認めるなど、同様の問題が相次いでいる。

政府が銀行や金融機関に「注意」を呼びかけるだけでは不十分であることは明白だ。こうした事件を未然に防ぐには、投資家、政府、銀行が一丸となった意識改革が必須となるだろう。(ZUU online 編集部)

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