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住む人によって使われる家

住宅を人とモノの連関として捉える建築家、能作文徳

建築家,能作文徳
(写真=プレミアムジャパン)

街に対して自由に開閉できる住宅はコミュニケーションを生む

東京の中央線沿線に位置する国立は、緑豊かな郊外型の住宅地として知られる。関東大震災後に学園都市として整備が始まったこの街には、広い敷地にゆったりと建つ、開放的な住宅が多かった。

しかし昨今の分割相続による宅地の細分化を経て、その魅力は次第に失われつつある。小さな敷地には隣地との近すぎる距離を意識して小さな窓を設けた住宅が建ち、かつての町並みとは異なる閉鎖的な状況が生まれている。

建築家,能作文徳

写真(上2枚)/ Steel House 2012 Photos by Fuminori Nousaku Architects (上)「Steel House」の外観。屋上にはさまざまな用途に使えるスチールフレームが設置されている。(下)窓を多く設けた開放的な室内。外の景観を建物の内部へと取り込むようなデザイン。

能作文徳が設計した「Steel House」は、こうした現代の都市的な住宅環境に対応する試みだ。まず敷地の前面道路側に駐車場とアプローチを兼ねた前庭を確保。建物を道路から離すことで、間口いっぱいの大きな窓がある開放的なリビングを実現した。

建物は鉄骨の軸組でできているので、窓の場所や大きさを自由に決めることが可能だ。さらに屋上には広いテラスがあり、一層分の高さのあるスチールフレームが設置されている。このフレームは、ハンモックを吊るしたり、蔓状の植栽を育てるためのネットを張ったりと、施主のライフスタイルに合わせたさまざまな使い方ができる。

(写真=プレミアムジャパン)
(写真=プレミアムジャパン)

「小さな住宅が密集する都会の住宅地では外部空間を活かすのが難しい。どうすればうまく使えるかは、設計するときにいつも考えているテーマです」と文徳は語る。

「Steel House」では前庭や屋上テラスといった「外部」を巧みに配置することで、小さな住宅でも街に生活の気配が現れるように設計されている。必要なプライバシーを保ちつつ、街に対して過度に閉鎖的にならない住宅となっている。

「例えば天気のいい日に屋上のテラスで食事をしていれば、街を歩いている人は気づくでしょう。知り合いなら声をかけるかもしれない。住宅のなかで営まれる活動がきっかけとなって、コミュニケーションの機会が生まれます。現代の街や建物の多くがそうした機会を奪っているとしたら、僕たちが設計する建築は街に対してより自由に開いたり閉じたりできる可変性を持つべきだと思っています」

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