特集「財務諸表」の読み方 特集「保険」 専門家たちの金言 特集AI 人口知能がもたらす禍福 特集「本を読む。」 DC特集
見通し・戦略
Written by ZUU online編集部 5,212記事

バンカメが特に注目か?

トランプノミクス「今こそが銀行株を買う絶大なチャンス」

米国経済見通し
(写真=PIXTA)

米銀行株が元気だ。2016年前半には規制強化や、銀行の利幅を押し下げる金融緩和政策がダラダラと長引いたことで、軒並みさえなかった。ところが、ほんの数か月の間に状況は一変した。足元では米長期金利が低下し、長短金利差の縮小懸念から弱含んでいるものの、中長期的には有望な銘柄に変身した。

米投資顧問会社メンドン・キャピタル・アドバイザーズのチーフ・インベスト・オフィサーのアントン・シャッツ氏は12月29日の米経済ニュース専門局CNBCに出演し、「銀行株の伸びは直近では休止しているが、その今こそが銀行株を買う絶大なチャンスだ」と語った。

その理由についてシャッツ氏は、「トランプ新政権が発足して大幅な法人減税を実施すれば、金融機関は真っ先に恩恵に浴する。また、米連邦準備制度理事会(FRB)が年内に3回の利上げを見込むなか、銀行の貸し出しにかかる金利の収入も増え、さらにトランプ次期大統領が公約している金融関連の規制緩和も大きな追い風だ」と説明した。

特に、米当局の景気対策が従来の金融政策頼みから、財政出動へと大きく転換することが期待されるため、長期金利上昇の傾向は当面持続するという期待が、金融機関の収益性への楽観を強めている。

「敵」トランプ氏の政策で儲けのふくらむバフェット氏

米銀大手のなかでも、特にバンクオブアメリカが「買い」だと、シャッツ氏は推奨する。貸出残高が他行に比べて大きく、金利の上昇により、2017年だけで前年比53億ドルの増収が見込めるからだという。こうしたなか、バンカメ株はトランプ氏の当選直前から、37%も上げている。

ちなみに、同行には米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイが2011年に投資している。50億ドルの現金と引き換えに、普通株に比べ配当金などを優先的に受取れる優先株50億ドル分と、7億ドル分のバンカメ株を一株当たり当時の価格である12ドル前後より安い、割引価格の7.14ドルで2021年9月までに買う権利を得た。優良銘柄を安く仕入れて、じっくり保持して値上がりを待つ、バフェット流の投資術だ。

金融危機の後遺症が強かった当時は、額面から47%の大幅値引きをしなければ誰も買わなかったバンカメ株。だが、現在では33%ものプレミアがつく。今の額面は、一株当たりおよそ22ドル。しかも、受け取った優先株の価格も当時に比べて跳ね上がっているため、「オマハの賢人」との異名をとるバフェット氏の投資は約3倍の150億ドルに膨れ上がったことになる。

有望株のバンカメがトランプ氏の政策とFRBの利上げでさらに上げれば、「投資の神様」の笑みはさらに大きくなる。リベラルな立場のバフェット氏は、トランプ氏の大統領当選を阻もうとした「敵」なのだが、清濁併せ呑む度胸も持ち、敵の政策で肥え太ってしまうところが、「神様」の神様たる所以であろう。

具体的な米銀の銘柄に話を戻そう。地方銀行ではBNCバンコープやシノバス・ファイナンシャル、ウェスタン・アライアンス・バンコープも同じく金利上昇環境での勝者になると予想されており、「規制緩和によって互いに吸収合併を行い、より儲かる体質になる可能性がある」という。

いずれにせよ、2017年の米株式市場で、景気の良い話の出所や話題の中心となるのは、銀行株であることは間違いない。

規制緩和には落とし穴も

だが米銀にとり、トランプ政権の金融規制緩和には「落とし穴」もある。米『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙の分析によれば、トランプ政権は、やみくもに規制緩和を進めるのではないという。確かに銀行への規制の多くは取り払われるのだが、代償がある。

トランプ氏がFRBの金融監視担当副議長に指名すると目される共和党の候補者たちは、資本要件と呼ばれる手元資金を銀行がより多く積み増すことを主張する人物ばかりだ。共和党は、規制を緩めても、万が一の失敗のツケを政府が血税で支払う「大きな政府」状態は避けたいのである。銀行にとっては、規制緩和でもうけやすくなっても、高いリスクを取り、資金を思うままに動かせることができなくなれば、うまみが減る。

どうやらトランプ氏は、銀行に優しいだけではないようだ。事実、米企業の工場海外移転を断念させるなど、ルールに従えば何をやってもよかった従来の法治的なやり方ではなく、大統領の意向に企業の方針が左右される「統制経済的」「人治的」な政治を目指しているフシがある。そのなかで、銀行が恣意的・意図的なターゲットにされる可能性は少なくない。

そうしたなか、規制緩和を喜んでいるはずの米大手銀JPモルガンのジェームズ・ダイモン氏は12月上旬、「我々は、金融危機後に規制強化を目指して成立したドッド=フランク・ウォール街改革・消費者保護法を丸ごと廃止せよと、要求しているのではない」と言明した。すでに同法に適応すべく、多額の資金を投じてビジネスモデルをはじめ、システムや内部文化を変革しており、今さら急激な変化は望まないというわけだ。また、同法が各行の経営やビジネスの健全性を高めたことも事実だ。

米銀はトランプ政権下で2000年代のような過度なリスクを取り、資本要件などの「壁」を無力化しようとするのか。トランプ政権中枢に進出するゴールドマン・サックス出身のスティーブ・マヌーチン氏(財務長官候補)など元有力バンカーたちは規制撤廃に邁進するのか、それともトランプ氏の「統制経済的」政策を実行に移して出身母体と反目するのか。これからの「役者たち」のせめぎあいに注目が集まっている。(在米ジャーナリスト 岩田太郎)

【編集部のオススメ記事】
ビジネスもプライベートも「プラチナ」カラーに染める(PR)
「メルカリ上場」と日経が報道、時価総額1000億円超のユニコーン企業
時代が変わっても変わらない金投資の魅力とは?(PR)
100万円で79万円儲かる?「究極の」資産運用術とは
情報は欲しいけど有料は…な方におすすめ「情報の宝庫」とは(PR)

トランプノミクス「今こそが銀行株を買う絶大なチャンス」
ZUU online の最新記事を
毎日お届けします
PREV 「2017年株式市場見通し」 バフェット、ソロス、ロジャース...
NEXT ヘッジ売りなどの買い戻し一巡後は為替次第