ADP雇用統計やや下振れも米労働市場は堅調
本日(6日)日本時間22時半に12月分の米雇用統計が発表される。連邦公開市場委員会(FOMC)は12月に1年ぶりの利上げを決定、2017年には3回の利上げを想定していることが示唆された。
ただしイエレンFRB議長は利上げのペースは経済動向次第であるとの従前からのスタンスを崩しておらず、今年の利上げ回数は当然2回以下になることもありうるし、4回以上になることも否定できない。フィッシャーFRB副議長は2016年年初に「今年は四半期に1度(年4回)の利上げを行う」という趣旨の発言を行っていたが、結果的に昨年の利上げは1回のみだった。
引き続き利上げ実施判断の重要な材料の1つが雇用統計になるわけで、今年も大きな注目を集める。マーケットの注目は労働市場そのものよりもインフレ率に移りつつある。
11月の失業率は4.6%だったが、FOMC後に示されたメンバーの予測によれば2017年~2019年の年末の失業率はいずれも4.5%となっている。つまり、失業率はこれ以上ほとんど下がる余地がなく米労働市場は完全雇用に近いとFOMCメンバーは考えているということだ。今後は雇用者数や失業率などの指標よりも特に将来のインフレ圧力となる平均時給の上昇率への注目が高まるとみられる。
12月分の雇用統計はまずまず堅調な内容になると予想されている。市場予想では非農業部門雇用者数が前月差17.5万人増と前月の伸びとほぼ横ばい、平均時給は前年比2.8%と前月から加速すると見込まれている。雇用統計の先行指標であるADP雇用統計は、民間部門の雇用者数が前月から15.3万人増と市場予想(17.5万人増)をやや下回って前月から伸びが鈍化した。ただ、大きく問題のあるような鈍化幅ではないし、後述するようにその他の労働市場の労働市場の先行指標は堅調さを維持している。
5日に発表された労働市場の先行指標である新規失業保険申請件数は、23.5万件と金融危機後で2番目に少ない申請件数(望ましい)を記録した。4週移動平均でも減少傾向を継続している。以上から米労働市場の改善トレンドは変わっていないと判断し、12月分の非農業部門雇用者数はADP雇用統計と整合的な15-16万人程度の増加になるのではないかと考えている。