好調な経済指標目立つ

今年になって発表された経済指標は好調な内容が目立っている。まず4日に発表されたISM製造業景況指数は、54.7と市場予想を上回って前月から改善した(グラフ参照)。改善は4ヶ月連続である。指数の内訳を見てみると、ヘッドラインを構成する5項のうち新規受注(53→60.2)、生産(56→60.3)、雇用(52.3→53.1)の3項目が前月から改善、在庫(49→47)と入荷遅延(55.7→52.9)はやや悪化した。

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特に目を引くのが新規受注の大幅改善である。以下のグラフに示したようにISM製造業指数の新規受注と米国株の相関は高いことが知られている。同指数の大幅改善は米国株にとってポジティブに捉えることができるだろう。

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また、5日に発表されたISM非製造業指数も堅調だった。ヘッドラインは57.2で前月から横ばいだが、前月は2015年10月以来約1年ぶりの高水準だった。非製造業の景況感も好調をキープしているようだ。

同じく5日に発表された新車販売台数も好調だった。12月の新車販売台数は年換算1843万台と、2005年7月以来約11年半ぶりの高水準となった。2016年の年間販売台数は1755万台で過去最高を更新した。新車販売台数は昨年8月以降4ヶ月連続で販売台数が前年割れと冴えなかった。だが12月は前年同月比5.2%増と5ヶ月ぶりのプラスとなった(グラフ参照)。

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このように米国の経済指標は概ね堅調に推移している。トランプ氏が大統領選に勝利したことで、大統領就任後の景気拡大期待が個人や企業のセンチメントに好影響を与えているような印象だ。

少し注意をはらいたい米国の長期金利低下

上述してきたように、米国経済は堅調である。ただ、大統領選以降米国経済の拡大を織り込むように上昇してきた米国の長期金利や米国株式市場にやや気になる変化が出ているのでご紹介したい。

ご承知のように大統領選後に米国の長期金利は大きく上昇し、大統領選前に1.8%程度だった長期金利は一時2.6%程度まで上昇した。ただ、グラフに示したように12月中旬をピークとしてその後は低下基調にあり、1月5日には前日から0.1%近く低下して2.34%となった。これは大統領選後の1日の最大の下落幅である。

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米国株式市場も金利低下に敏感に反応した。大統領選前の11月8日以降S&P500は約6%上昇した。その牽引役は言わずもがな金融で、以下の表の通りセクター別の上昇率トップとなっている。ところが、昨日5日の取引では金融が1%を超える下落で下落率トップとなった。昨日はその他の業種を見ても、大統領選以降上昇率が高かったセクターが軟調で、反対に大統領選以降冴えないパフォーマンスのセクターが堅調だった。

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金利低下や業種別動向の変化をもって米国景気の鈍化や株価が大幅に調整すると考えているわけではないが、トランプ氏への期待先行で大幅に上昇してきただけに、市場がスピード調整局面に入る可能性を考慮しておいた方が良いかもしれない。

前回のレポート では時価総額の大きいハイテク株の出遅れについて、以下のように記した。

"ハイテクセクターの株価低迷の要因としてあげられるのが、金利上昇だろう。金利が上昇する局面では相対的に株式の価値が低下し、株価は下落圧力を受けやすい。その際に真っ先にそうした圧力を受けやすいのが元々バリュエーションが高い銘柄だ。アルファベット、アマゾン、フェイスブックの3社は元々成長期待が高いため特にPERが高い。米国の長期金利が大幅に上昇する中で、バリュエーションの高さが敬遠されて足元は売り圧力が強かったということだろう。"

5日にダウ平均やS&P500が下落する中で、上記で記したハイテク3社は受け揃って上昇した。アマゾン・ドット・コム(AMZN)は3.1%高、フェイスブック(FB)は1.7%高、アルファベット(GOOG)は0.9%高である。

これまで述べてきたように、足元の米国市場にはやや傾向の変化がみられる。米国株の調整にやや注意を払うとともに、もし調整がきた際には出遅れているハイテク株の押し目を拾うという投資戦略が検討に値するかもしれない。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部

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