日本株式会社再生のモデルとしてとらえられている

日立が選択と集中のために従業員を10.5%減らすリストラを行いましたが、ほとんどがHDDの販売部門での削減です。日本企業は横並びが多いので、日立の成功はそれに影響される会社が増えてくることは確かです。これほどスムーズに事業再構築ができたことは今後はライバルのパナソニックに大いに刺激を与えてのではと思います。

一方、投資家は日立の復活を歓迎しています。今では日立の売上高は、トヨタ、NTT、日本郵政に次ぐ国内第4位ですので株価も堅調です。中西宏明氏が社長に就任し日立は生まれ変わったと言えます。グローバルに見れば日本企業はまだ中小企業でしかなく、今後も選択と集中をより積極的に進めるべきなのかもしれません。

世界のグローバル企業で、電機メーカーの売上高と営業利益の関係を見ればグローバル企業の収益力は日本メーカーとは比較になりません。日本では大手企業であってもローバルで見ればまだ中小企業に過ぎないのです。過去最高益となった利益の倍以上を稼がないとシーメンスやサムスンには太刀打ちできない状態ですし、GEと比べたらなんと5倍の差はあります。


海外のお客様ニーズにどれだけ合わせれるか

日立は現在、売上高の57%、従業員の3分の2を占める国内から成長の軸足を海外に移す戦略をとっておりますが、復活したと言い切るにはまだ不十分です。収益力のみならず財務体質の改善はまだ道半ばですし、社会イノベーション事業を核にした今後のグローバル経営戦略の展開も道半ばだからです。ただ、ここで日立の今後の歩みは日本の製造企業の多くに共通する流れでもありますので注目したいところです。リトアニアへの日立とGEの合弁による原発を売り込みは半ば成功ですし、英国への高速鉄道車両の更新事業参入も受注内定者の地位を守っております。そうかと思えば、アラブ首長国連邦(UAE)の原発販売では、結局、韓国勢に敗れ、大きな課題が残りました。日本での販売では通用しても、そのままでは海外のお客様のニーズには合いませんので、国や地域の市場環境を理解には現地で言葉を交え感じることが必須です。

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