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価格の二重表示で一時メディアに騒がれた楽天ですが、それでも2013年度の通期決算は好調な数値でした。売上高は5186億円で前年から29.5%の成長、営業利益(一過性要因控除後)は974億円と22.1%の成長となっています。2014年1~3月期の連結決算(国際会計基準)は純利益が前年同期比で13%増の161億円となりました。主力のEC事業に加えて金融部門が好調だと言いますが、現状の楽天を支える利益構造はどうなっているのでしょうか。


金融セグメントの売上げが、楽天市場&トラベルを抜く

2014年1~3月期の売上げは前年同期比22%増の1382億円でした。要因としては、消費税増税前の駆け込み需要として主力ECポータルである「楽天市場」の利用者が増加し、流通総額が3割ほど増えたことが挙げられます。また、金融部門ではテレビスポットでも最近頻繁に見かける「楽天カード」の会員数が増加しており、取扱高が51%も伸びています。事業別の営業利益の内訳を見ていくと楽天市場、楽天トラベルの47.1億円に対してインターネット金融セグメントは54.4億円となっており、主力のインターネットサービス事業を営業利益ベースでは金融事業が抜いているのです。楽天はECをはじめとするインターネットサービスの企業であるとともに、実は金融企業の側面も持っていると言えるでしょう。


次々と海外のサービスを買収する意図とは

さて、金融事業にて得られたキャッシュを以て、次々と海外サービスに買収や提携を仕掛けています。2012年には米写真共有サイトの「Pinterest」に約5000万ドルの出資を行いましたが、2013年には動画配信サービスを手がける米「Viki(ヴィキ)」を買収、最近では2014年2月に無料通話・メッセージサービスの「Viber」を運営するViber Media社を9億ドルで買収することを発表して世間を驚かせました。近年楽天から続々と発表される買収の報道ですが、これは何を意味するのでしょうか。「Pinterest」はネット上の写真をキュレーションした画像キュレーションサービスです。画像の多くはECサイトから引用されており「Pinterest」経由でECに到達したユーザーは購買率が高いことで知られていますから、楽天と親和性の高いサービスであると言えるでしょう。しかし、「Viki(ヴィキ)」は世界格好のテレビ番組や映画などの動画コンテンツをスマートフォンを始めとする各種デバイスに向けて他言語の字幕付きで配信している会社であり、「Viber」は世界で2億8000万の会員を有する無料通話・メッセージサービスです。三木谷社長のインタビューを見ると、どうやら世界的なコンテンツ販売の開拓を目論んでいる事が伺えます。


コンテンツ販売の要、koboの行方

コンテンツ流通の一角を担うのは、もちろん電子書籍の「kobo」でしょう。2013年4月にはiOS、アンドロイド両方のストアにて無料アプリの提供が開始されたため、専用端末を持っていなくてもコンテンツにアクセス出来るようになりました。koboの買収時の会員数は650万人でしたが現在は2000万人に上り、グローバルでの収益は1〜3月期において前年同期比34.3%のプラスになっていると言います。

今後の楽天の世界進出においては、買収した各サービスにおいて、いかにシナジーを生み出しコンテンツ流通を行うかという戦略が重要でしょう。今後も主力の金融とインターネット事業の収益を元に、積極的な買収や提携を仕掛けていくことが予想されます。日本国内においては、ライバルのKindleとのシェア争いもありますから、傘下に納めたサービスを用いてどのような戦略を取って行くのか注視したいところです。

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