ブラジルの市民・社会組織「Igarape Institute」は2月1日、機械学習(Machine Learning)をベースにしたオープンソース型犯罪予測プラットフォーム「クライム・リーダー 」のテスト運転中であることを発表した。

現在は年間殺人犯罪が1000件を超えるリオ・デ・ジャネイロの犯罪データ分析・予測を、試験的に行っている段階だ。

8割の市民が犯罪被害におびえるリオ アルゴリズム解析で危険な地域を特定

過去のデータから犯罪を予測するという概念自体は決して新しいものではない。近年はテクノロジーの進化により、機会学習技術を利用した次世代犯罪予測システムが欧米の警察ですでに取りいれられている。

しかし期待されているほどの成果はあげておらず、実用性に関する見解はわかれるようだ。Igarapeのリサーチ・ディレクター、ロバート・ムガー氏は世界経済フォーラム(WEF)に寄せた記述の中で、警察が情報の一般公開に消極的である事実やプロプライエタリ化(ソフト開発側で利用者の権利範囲が制限されている状態)されたアルゴリズムの展開が困難を極めることを主な原因として挙げている。

ほかの多くの都市同様、リオでも正確な安全性を見極めることは難しい。一般公開されている統計は更新に時間を要するうえ、容易にアクセスできない環境だ。ムガー氏はこの点についてもふれ「市民の8割以上が身に危険を感じて生活しているというサーベイ結果も驚くに値しない」と述べている。

こうした市民の不安を軽減する目的で誕生した「クライム・リーダー」は、2010年以降に発生した140万件にもおよぶ犯罪をアルゴリズム解析し、 Google Maps APIをとおして表示してくれるという優れものだ。

使い方も非常に簡単。「future(未来)機能」をクリックするとリオの高解像度地図が表示され、犯罪リスクの高い・低い地域が色わけされる。「Past(過去)機能」では過去の犯罪傾向を把握することが可能だ。また犯罪タイプをフィルターにかけ特定の傾向分析もできるなど、市民は勿論、今後リオを訪れる観光客などにとっても心強いツールとなるだろう。

クライム・リーダー 」はウェブサイトから誰でも無料で利用可能だ。リオ版でのテストで成果をあげ、将来的には対応範囲が世界各地に拡大されると期待しよう。(ZUU online 編集部)

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