ドンキホーテ,テンバガー,爆買い
(写真=Thinkstock/Getty Images)

2月3日、ドンキホーテホールディングス <7532> が決算を発表した。史上最高益にもかかわらず、週明け6日の株価は売り気配で始まり、265円(6.5%)安の3805円と昨年9月以来の安値まで値下がりした。

ドンキホーテといえば「爆買い銘柄」を象徴するテンバガー(株価が10倍になった銘柄)としても知られている。同社にいったい何が起きているのだろうか?

ドンキホーテの決算は予想を上回り過去最高

ドンキホーテの2017年6月期中間決算(7〜12月)は、売上が8.6%増の4177億円、本業の利益を示す営業利益は3.0%増の263億円だった。中間時点では過去最高益である。

同社の期初時点での中間予想に対し、売上で27億円(0.6%)、営業利益で3億円(1.3%)上回った。消費全体が停滞しているなかで、今期通期でも27年連続で史上最高益を更新する見込みであり、この数字を見る限りでは、なぜ売られるのか疑問に感じる人も多いことだろう。

しかし、これが株式投資の難しさでもあり、同時に面白さでもあるのだ。

「インバウンド関連」でテンバガーを達成

ドンキホーテは、旅行者の爆買いの恩恵を受ける「インバウンド関連銘柄」として2015年7月に史上最高値となる5830円をつけた。2009年3月の安値518円から6年かけてテンバガーを達成している。

ちなみに、今年1月17日に観光庁が発表した訪日外客数(2016年12月)は前年同月比15.6%増の205万人と単月では過去最高となった。2016年は年間としても21.8%増の2404万人と過去最高を更新している。

訪日外客数は、政府が掲げる東京五輪の「インバウンド4000万人」にむけて着実に増加していると言えるだろう。特に爆買いを支えた中国からのインバウンドは昨年12月が23.2%増の49万人、年間では27.6%増の637万人と引き続き高い伸びを続けている。

ただ、過去のインバウンド全体の伸び率をみると2013年が24.0%増、2014年29.4%増、2015年47.1%増となっている。2015年の伸びが驚異的だったため、インバウンド関連銘柄は大相場となり同年夏頃に株価はピークをつけた。そして、2016年には21.8%増とスローダウンしたために「インバウンド関連銘柄」の多くは調整局面入りすることになる。

期待が高すぎた故の失望か?

先に述べた通り、昨年は「インバウンド関連銘柄」の多くが調整ムードを強めることとなった。その一方で、今年の中国の春節(旧正月)に向けての反転上昇を期待する「打診買い」も一部で出始めていたようだ。インバウンド消費の影響を受けやすい百貨店株は昨年半ばを底に戻り始めたほか、ドンキホーテ株も昨年9月の安値3325円から12月の高値4475円まで35%上昇していた。

今年の中国の春節の連休でも、銀座や渋谷の街角はもとより電車の中などどこに行っても中国からの旅行客が多く見られただけに、ドンキホーテの決算に期待を寄せていた投資家も少なくなかったことだろう。筆者も今期通期での上方修正を期待していた一人だ。

それだけに、2月3日の決算で上方修正がなかったことがネガティブ要因となった可能性は否めない。加えて、昨年10〜12月の四半期だけをみると売上は9.4%増と伸びているが、営業利益は前年同期比で3.3%減となったこともサプライズだった。上期の営業利益が前年同期比10.9%増だったことを考えるとスローダウンは著しいと言わざるを得ない。営業利益率が前年同期の7.2%から6.4%に0.8ポイント悪化したことも、投資家の失望を招いた可能性がある。

旅行者の志向は「爆買い」から体験型の「コト消費」に変化

上記の通り、昨年の訪日外客数は21.8%増の2404万人。しかし、年間の訪日旅行消費額(※買い物代)は1.9%減の1兆4261億円に減少している。

この原因としては、旅行客のリピート率が高まるにつれて彼らの志向が「爆買い」から体験型の「コト消費」に変化していることも考えられよう。ドンキホーテが決算と同時に公開した決算説明資料を見ても、高額商品、耐久商品の「爆買い」から生活必需品、消耗品へと買い物対象のシフトが読み取れる。

ただ、売上については客数増でカバー出来ており、客単価についても底打ち感が現れはじめている。SNS や口コミで、ドンキに来ることはアミューズメントセンターに訪れる「体験型」に近いものとらえられており、リピーター人気も獲得しているようだ。

「雑貨のアミューズメントセンター」として進化

ドンキホーテのインバウンド売上の構成比はまだ全体の5%程度。「爆買い」で浮かれることなく、ドンキホーテは2020年に売上高1兆円、店舗数500店、ROE15%を目指す「ビジョン 2020」に取り組んでいる。インバウンド消費の需要創造と獲得だけでなく、「雑貨のアミューズメントセンター」として進化を遂げようとしているのだ。

その一例が、昨年のハロウィンだ。イベントとして注目が高まるハロウィンをさらに盛り上げるために、ドンキホーテ渋谷店近くの特設店舗で「ドンキハロウィンフェス 2016」を開催した。トイレや更衣室をハロウィン用に提供したほか、自主清掃の実施や「ハロウィンごみゼロ大作戦 in 渋谷2016」にも協賛するなど積極的な取り組みをみせている。

「爆買い」関連銘柄から、体験型の「コト消費」関連銘柄へ。着実な進化をみせるドンキホーテの今後を見守りたい。

平田和生 (ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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