ネスレ日本が挑戦したビジネスモデル

スイス本社と共同開発された、インスタント・コーヒー(ネスカフェ)のオフィス需要を喚起するため、コーヒーマシン(ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ)ですが、マシンをオフィスに導入するために日本独自に考案したのが(ネスカフェアンバサダー)です。

アンバサダーになると、オフィスではネスカフェのコーヒーマシンを無料で借りることができ、2013年11月、ダイヤモンド・オンラインに掲載された同社の高岡浩三社長の記事によれば「アンバサダーの応募が10万人を超えた。1つのコーヒーマシンを10人が使用していると考えると、1日で約100万人が「ネスカフェ」を飲んでいる計算になる。これによって、これまで家の中で飲むとされていた「ネスカフェ」がオフィスに入ることになった」と言っています。ネスカフェアンバサダーがライバルとして見ているのは、130円前後の自動販売機の缶コーヒーや100円から150円位で提供されているコンビニのコーヒーですが、その中でバリスタの強みは、たった20円でおいしいコーヒーが飲めるということなのです。さらに、このビジネスモデルは、スイス本社の役員からも注目を浴びていることから日本発のイノベーションがスタンダードとなって全世界のネスレで展開される可能性も見えてきているようです。

ネスレに学ぶグローバルな人材育成とビジネスモデル戦略

先にあげたグローバル・ダイバーシティ・コア経営人材を日本語圏の日本本社で育成していくことは到底無理な話であり、ニューヨーク、シリコンバレーやジュネーブ、ロンドン、シンガポール等の英語ベースの何らかの事業拠点へ優秀な若手日本人を送り込むことで小さな核を作り始めることが実現性の第一歩と考えられます。既に日本たばこ産業の国内と中国を除く市場を担当するジュネーブの世界本社ではそういった取り組みの兆候が出始めています。ネスレのような生涯年金の取り組みでは引き付けられなくても、日本のグローバル企業はやりがいのあるチャレンジできる仕事で優秀な外国人をひきつけることはできると考えられます。

ネスプレッソとネスレ日本の例のように、成功したビジネスモデル・パターンをつかむことで、それを進化させ自社製品やサービスに当てはめていけば思いもよらない新たなビジネスモデルが生まれることがあると言えるでしょう。この「ビジネスモデル・パターンをつかむ」そして「自社に当てはめる」というステップでネスレの実力を学び取り入れることが企業を強くすることの近道と言えます。