日経平均予想ジ レンジ 19,000 ~ 19,615 円
今週は、NYダウが10日続伸し、連日で史上最高値を更新したものの、日経平均は19,300円を挟んだもみ合いに推移した。月末のトランプ米大統領の施政方針演説の成り行きを見守る動きに加え、円安基調一服もあって、東証1部の売買代金は今年最低を記録するなど、様子見気分の強まりから方向感に欠ける展開となった。
海外の焦点
米国では、2/28のトランプ大統領による「驚くべき減税を明らかにする」と明言したことで、大統領の具体案公表が注目されている。ただ、28日に予定されている上下両院の大統領演説の前後から、両院は本格調整に入ると見られる。
ライアン下院議員は先月の大統領就任から8月の議会休会前までの200日間で調整を終えるとしており、正式な減税案が決まるのは6~7月、あるいは年末まで延びる可能性すらある。大統領の減税案と議会共和党の減税案に温度差を生じる懸念は強く、市場の楽観度合は高レベルだけに、期待外れへの警戒感は捨て切れない。
国内の焦点
日本株が出遅れている主因は、ドル高円安基調が一服しているからであろう。トランプ大統領によるドル高牽制発言はもとより、イエレンFRB議長が議会証言で早ければ3月のFOMCで利上げの可能性を強く示唆したものの、確認には至らず円相場は強含みで推移している。年初から海外勢の日本株買いが減少したのは円安が進まないと判断したためであろう。要因として米長期金利と日米金利差が指摘される。
米政策金利0.625%から物価上昇率+2.5%を引いた実質金利は-1.875%。一方、日本の政策金利-0.1%に対し、物価上昇率は+0.3%で実質金利は-0.4%となる。こうして見ると、米国より日本の方が高く、ドル安、円高要因になっている。
また、米長期金利が昨年12/28、2.5596%から足元では2.3738%にやや低下していることもドル安円高を助長させている。今後、ドル高・円安進行のイメージを描くのは、米景気の更なる拡大ペースにより追加利上げ観測の強まることが求められる。
来週の株式相場
以上、来週はトランプ大統領の演説が市場の期待外れに終わる懸念も想定されるが、日経平均のPER16倍からは割高感は乏しいだけに、例え売られても下値は限定的。むしろ、来期2桁増益予想が出始めており、EPSは1,300円程度に上昇して割安感が出てくるであろう。
日経平均のレンジは、上値は1/5高値19,615円が意識され、下値は節目の19,000円が目処となろう。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券
チーフストラテジスト