広告,電通,広告費
(写真= sergey causelove /Shutterstock.com)

広告最大手の電通が発表した「2016年日本の広告費」で、2016年(1~12月)の日本の総広告費は、6兆2880億円(前年比101.9%)となり、5年連続で前年実績を上回ったほか、「インターネット広告費」は1兆3,100億円、同113.0%。うち「インターネット広告媒体費」は、1兆378億円(同112.9%)と初めて1兆円を超えたことが分かった。

伝統的なマス四媒体広告費(衛星メディア関連を含む)は2兆8,596億円(同99.6%)。そのうち最も大きな「テレビメディア広告費」(地上波テレビ+衛星メディア関連)は、同101.7%と伸長。全体としてみると、インターネット広告へのシフトがより顕著になったことで広告全体が伸長した。景気の先行指標ともいわれる広告費だが、円高株安・個人消費の低迷など景気全体が伸び悩む中で、少なくとも企業側から見ると景気は緩やかに上昇しつつあるようだ。

テレビメディア広告費(地上波テレビ+衛星メディア関連) 1.96兆円 意外にも?前年超え

全体では1兆9657億円(前年比101.7%)、うち地上波テレビは1兆8,374億円(同101.6%)で、年間を通してプラスで推移した。この中で、番組間で放送されるスポット広告(同102.8%)は上半期を中心に大きく伸長した。

スポット広告は短期的な広告宣伝活動に使われ、景気の動向を最も受けやすいとされていることから、企業業績が好調になりつつあることが伺われる。地域別では、通年で全国32地区中25地区が前年実績を上回り、景気動向が大都市圏以外の地方にも波及しているようだ。今まではインターネット広告の伸長に比べてテレビ広告が苦戦していたが、景気上昇とともにより幅広い層にリーチできるテレビ広告の利点と役割はまだ健在だといえるだろう。

インターネット広告費(媒体費+広告制作費) 1.31兆円 媒体費が初めて1兆超え

全体で1兆3100億円(前年比113.0%)、うちインターネット広告媒体費は1兆378億円(同112.9%)と、媒体費が初めて1兆円の大台を超えた。広告でのインターネットメディアへのシフトはより加速している。

このうちメジャーな運用型広告の広告費は7,383億円(同118.6%)。これは費用対効果を求める広告主が増えていること、それをサポートするデータやテクノロジーが進化し、リーチやブランディングなどの役割もカバーし始めたことなどが挙げられる。

またSNSなどを通じての動画サービスが活発になっているのに伴って、動画ディスプレイ広告の比重が高まっている。デバイス別に見るとスマートフォンが引き続き伸長し ており、市場成長のけん引役はPCメディアからモバイルメディアに移りつつある。

テレビ広告、インターネット広告の伸びとは対照的に、トラディショナルメディアである、いわゆる「紙媒体」の広告費は減少傾向が続いている。

新聞広告費 5431億円 前年に引き続き減少

全体では5431億円(前年比95.6%)で、前年に引き続き減少。新聞購読部数の減少が止まらないのに加え、前半の景気動向の足踏みなどが影響したと考えられる。新聞購読者の年齢層が上がっていることから、サプリメントや健康食品、化粧品などの年配層向けの商品広告が引き続き好調だった。

雑誌広告費 2223億円 推定販売金額は12年連続で減少

全体では2223億円(前年比91.0%)。推定販売金額が12年連続で減少(同96.6%。出典・出版月報2017年1月号)となるなど、メディアとしての雑誌を取り巻く環境は引き続き厳しさを増している。業種別では、特に雑誌の主軸である「ファッション・アクセサリー」や「化粧品・トイレタリー」が大きく減少した。一方、電子雑誌市場(同127.1%※)は拡大している。主力誌のデジタル版の発行や定額制読み放題サービスなど、「紙」にとらわれない「雑誌の読まれ方」に変化が起きている。

キーワードは、「ネット」、「デジタル」、「モバイル」

インターネットへのシフトはもう元には戻らないだろう。メディアとしてはもちろん、情報インフラとして欠かせない存在になったからだ。

費用対効果が一目瞭然であるために、広告主はインターネット広告の効果やコストパフォーマンスを追及しており、それに応えるために日々新しいタイプのインターネット広告が生まれている。またそれを支えるデジタル・テクノロジーは日々飛躍的に進化している。

広告媒体でもデジタルへのシフトはますます加速するだろう。この点で、「紙の広告媒体」としての新聞・雑誌の未来はやはり明るくないと言わざるを得ないだろう。広告媒体としての価値を維持するためには、物理的な「紙」に拘らず、コンテンツを伝達する媒体としてインターネットにいち早くシフトすることが求められる。

このインターネット広告では、PCからモバイルへのシフトが一層顕著になっている。2014年の総務省調査によれば、20代のスマートフォン利用率は95%近くに達しており、中高年層でもスマートフォンへのシフトが進んでいる。スマートフォンを持っていて当たり前になりつつある中、ニュースやコンテンツとともに広告も含めてスマートフォンの画面を奪い合う状況が生まれているが、これからはスマートフォンの画面の中で競争する状態から進化し、ニュースやコンテンツと関連しあうデジタルネイティブな広告の重要性がますます高まるだろう。

生まれた時からデジタルに囲まれて育った世代が増えるにつれて、このシフトはますますスピードアップするだろう。広告は企業活動を如実に表すものだが、これらの「ネット」、「デジタル」、「モバイル」のキーワードは、広告のみならず、あらゆる企業活動に欠かせないものになっている。企業は一刻も早く「ネット」、「デジタル」、「モバイル」の環境に適応する必要がある。(戸神雷太、 広告業界出身のコンサルタント)

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