靴販売店大手のABCマート <2670> に対し、消費者庁は28日、景品表示法違反(有利誤認)で再発防止を求める措置命令を出した。自社で製造・販売を行う靴のチラシでの価格表示が、不当な広告に当たるとするもの。

ABCマート,プライベートブランド,消費者庁,
(写真=TungCheung/Shutterstock.com)

セール品の「メーカー希望小売価格」の表示が問題に

消費者庁から指摘を受けたのは、2015年2月13日、5月1日、8月13日、11月7日にそれぞれ配布した新聞の折り込みチラシでの価格表示だ。ABCマートはセール価格とともに(メ)というマークを付けた価格を併記した。

(メ)とは「メーカー希望小売価格」を意味する記号だ。「ナイキ」「アディダス」といったブランド商品について、メーカー希望小売価格を付けることは問題がない。問題とされたのは、同じマークを付けた値段表示を、ABCマートのプライベートブランドの靴にも併記したということである。

ナショナルブランドのメーカー希望小売価格は、ABCマートには決定権がない。それに対し、プライベートブランドはABCマートに価格決定権がある。そのため、景品表示法の有利誤認に当たると指摘されたのだ。

問題となった有利誤認とは

有利誤認とは、商品・サービスの取引において、「実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの 」「競争事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの」である。

具体的には、競争業者が販売する商品よりも格段安くはない商品を、あたかも安いようにチラシなどで表現することなどがこれに当たる。故意に表示した場合だけでなく、誤って表示した場合は規制を受けると消費者庁のWebサイトにも記載されている。

今回のABCマートは、チラシに表示された二重価格が問題とされた。二重表示とは、セール前のプロパーでの価格と、セール価格を併記して表示することで、チラシなどでお得感をあおるために表記される。消費者が商品を選択するには欠かせないもののため、消費者庁でもガイドラインが定められている。

消費者庁の定めたガイドラインによれば、希望小売価格を二重表示する場合は、あらかじめ製造業者により設定され、あらかじめカタログなどに公表されていなくてはならない。

ABCマートは商標権を獲得してプライベートブランド化している「VANS」や「HAWKINS」のカタログを作成し、価格も明記している。そのため、問題がないとしてチラシにはナショナルブランド同様、メーカー希望小売価格を二重価格として表記した。しかし、この価格設定をABCマートが行っているのであれば、有利誤認にあたるとして今回の措置命令が下されることとなった。

指摘後は通常販売価格という表示に変更

ABCマートは、2017年1月の折り込みチラシよりプライベートブランドの二重価格を表示する際「通常販売価格」を示す(通)という表示をつけるよう改善している。消費者庁のガイドラインでも、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」は比較対象価格として表示してよいとされており、消費者庁の指導を受けた上で改善されたものだ。

措置命令が下ったチラシのメーカー小売価格も、実際に店頭で相当期間販売されていた価格であり、一部報道であった値引きを演出するための架空価格では ない。ABCマートによれば、メーカー希望小売価格として表示していた価格は、生産コストから算出されたもの。シーズン当初はこの価格で販売していた当初価格であり、シーズン後半に在庫が多かった商品をセール価格で販売していたとのこと。

ただし、ABCマートがプライベートブランドの当初価格を設定する際、在庫が多かった場合のセール価格まで織り込んで設定することも可能だ。それを含めての今回の措置命令でもある。

消費者が商品やサービスを選ぶ際、二重価格は大きな判断材料となる。その分、企業は表示に対して細心の注意を払う責任がある。今回のABCマートの件は、その責任の大きさがわかる事例となった。(ZUU online 編集部)

【編集部のオススメ記事】
2017年も勝率9割、株価好調の中でもパフォーマンス突出の「IPO投資」(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
株・債券・不動産など 効率よく情報収集できる資産運用の総合イベント、1月末に初開催(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)