NISA おすすめ 株
(写真=PIXTA)

来年から始まるNISAの口座開設申し込みが2013年10月からスタートしました。
NISA・少額投資非課税制度という言葉は、最近、テレビや新聞などで、見聞きする機会があるかと思います。NISAは、新たに時限的に実施される投資優遇税制制度です。イギリスのISAを手本としており、日本版ISAとも呼ばれています。

最大でも500万円という規模の非課税枠。高利回り銘柄を狙って安定した配当収入を得るという観点からまとめてみました。

いよいよNISA(ニーサ/日本版ISA)が始まる

2013年10月からNISA口座の受付が始まりました。証券会社でのNISA口座予約受付合戦はどんどん加熱しています。口座開設のためにプレゼントまで用意して、口座獲得を目指す証券会社も出てきました。

さて、このNISA、その制度の概要は毎年100万円の非課税枠が10年にわたって付与されるというものです。1つの枠自体は5年間有効となるため、6年目から最大で500万円の非課税枠が付くことになります。富裕層にとっては500万円という枠は微々たるものですが、せっかくの非課税枠を有効に利用したいものです。
高配当銘柄を狙って、配当金を非課税にするのも良し、キャピタルゲインを狙って、売却益にかかる税金を非課税にするのも良し、いろいろな戦略が考えられます。

今までは、株式売却益や配当課税は20%の原則課税が軽減措置として10%に抑えられていました。とてもわかりやすい課税体系であり、深く考える必要もありませんでしたが、今後は、どの銘柄をNISA口座に入れて、どの銘柄を原則課税させるのかということが重要な投資戦略になってくるとも言えます。

ここでは高配当銘柄に着目してNISA口座の活用の仕方を考えてみます。

チェックしておきしたいおすすめ高配当銘柄

NISA口座に高配当銘柄を入れておくというのは投資戦略の1つとなります。
得られるかどうかわからないキャピタルゲインを狙って買った成長銘柄をNISA口座に入れておくよりは確実にNISAのメリットを享受できる投資戦略と言えます。

そこで、一定の条件(PER12倍以下、PBR1倍以下、自己資本比率45%以上、時価総額100億以上)のもとに高配当銘柄を選別してみました(平成25年10月25日現在 SBI証券でのスクリーニング)。

配当利回り3.5%以上の銘柄

証券コード 銘柄名 配当利回り

  1. 8708 藍澤證券   4.40%
  2. 6257 藤商事   4.10 %
  3. 9639 三協フロンテア 4.09%
  4. 8117 中央自動車工業 3.83%
  5. 8018 三共生興 3.80%
  6. 7433 伯東 3.76%
  7. 3817 SRAホールディングス   3.72%
  8. 2715 エレマテック 3.70%
  9. 7558 トーメンエレクトロニクス 3.62%
  10. 9055 アルプス物流  3.52%
  11. 7723 愛知時計電機   3.51%

これらの銘柄の中でさらに「過去3期赤字になったことが一度もない」「過去3期配当金を減配したことがない」という条件を加えると、上位2銘柄(藍澤証券、藤商事)が候補から消えます。
さすがに昨年11月ごろからの日経平均株価の上昇で、高配当利回りの大企業は姿を消しました。残った銘柄は、どれも中堅企業程度の規模ですが、配当狙いの投資としては注目に値してみてもよいのではないでしょうか。

NISA(ニーサ/日本版ISA)での高配当は何を意味するのか

さて、高配当銘柄を狙う時に「本当にこの配当を維持し続けられるのか」という疑問が付きまといます。この疑問はとても大切なことです。
そこで高配当銘柄で安定収益を確保するという確度を高めるためにいくつかの点を抑えておく必要があるのです。

上記の銘柄選別で、条件に「自己資本比率を45%以上」と加えているのもそのためです。財務内容がよくなければ安定配当は続けられません。「高配当である」ということには大きく2つのパターンがあると考えられます。1つは「好業績に裏付けされた増配を続ける企業において、株価が追い付いていないがために高配当利回りとなっている」というものです。もう1つは「毎期安定した配当を続けているが注目されていない、もしくは気づいていない」というものです。
どちらのパターンにしても、収益に見合った配当をしているか、といった観点が必要になってきます。決算短信などで、配当性向を確認し、当期に稼いだ利益の範囲内で配当を行っているか、無理のある配当を行っていないかということを確認しておきましょう。

NISA(ニーサ/日本版ISA)開始前に考えておくべきこと

NISAにおいて気を付けておかなければならないことは「NISA口座に入れた銘柄を売却した場合、空いた枠を再利用することができない」ということです。
つまり、売却のチャンスは1回のみとなります。例えば、NISA口座において100万円で買った銘柄が買ってすぐに110万円値上がりしたため利益確定に動いた場合、その後、そのNISA口座はもう使えません。10万円のキャピタルゲインが非課税になって終わりです。

一方で配当利回り4%の銘柄を5年間保有し続ければ、20%の投資収益+キャピタルゲインが非課税になる可能性があります。NISA口座で何を狙うのかといった場合には、NISA口座の有効期限である5年間でどのように投資を考えるかという視点が重要になってきます。
また、NISA口座での売却益は非課税ですから、キャピタルロスと損益通算ができないことにも気を付けておきましょう。
つまり、NISA口座でキャピタルゲインを得た場合、その年に含み損を確定させたとしても、税金還付はありません。

NISA(ニーサ/日本版ISA)を踏まえた株式投資家の動向

日本証券業協会が平成25年9月17日に発表しています「個人投資家の証券投資に関する意識調査」では、NISAの利用目的は、「老後の資金づくり」が51.1%と最も多く、次いで「生活費の足し」が40.9%、「特に目的は考えていない」が26.1%ということでした(複数回答可であるため、全て足した場合100%を超えています)。50%を超える人が「老後の資金づくり」と考えているということは、NISAの5年という非課税期間をしっかりと利用したいという意向がうかがえます。

つまり、配当利回りを狙った投資も潜在的にはかなりあるのではないかと推測されるのです。同調査において、NISA口座を利用するための株式など購入資金を預貯金と回答している割合は44.0%、月々の収入・ボーナスと回答している割合は19.5%と、NISAが始まってからは、ある程度の株式市場への資金流入が予想されます。すでに投資をしている投資家にとっては、NISAがスタートすることを見越して、どのように投資をしていくかということを考えておくことも重要な投資戦略となってきそうです。

photo credit: Dick Thomas Johnson via photopin cc