資金が10万円たまったら、いよいよそれを元手にしてお金を増やす「投資」を行っていきます。とはいえ、特にこれまで投資をしたことがない方が、いきなり投資をしなさいといわれても、困ってしまうと思います。そこで本書では、私ならばどんな投資をするか、その投資方法を説明してきます。
(本記事は、JACK氏著『
0円から2億円を稼いだJACKさんのお金の増やし方入門 単行本
』スタンダーズ (2017/4/27)の中から一部を抜粋・編集しています)
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1株から購入できる端株(単元未満株)を購入する
金融機関から投資初心者に勧められがちなのは投資信託です。プロのファンドマネージャーが手掛ける安心感がウリですが、安定して収益をあげているものはそれほど多くありません。また、やはり人任せではご自身の投資スキルがなかなかアップしていきませんので、一部の商品を除いておすすめできません。
株式投資がまったく初心者の方は、端株(単元未満株)を買うことをおすすめします。端株とは、売買単位に満たない株式のことを指します。日本の株はふつう100株単位、または1000株単位で売買されます。これを単元株制度といいます。
たとえばA社の株価が2000円だったとします。この株を買うには100株単位の銘柄(投資できる株の名前のこと)なら20万円、1000株単位の銘柄なら200万円もの資金が必要になります。100株単位か1000株単位かは、会社ごとに決まっています。ちなみに全体の4分の3くらいが100株単位になっていて、今後100株に統一される見込みです。
A社の株は、仮に100株単位だったとしても、資金が10万円しかない段階では買えません。しかし、端株の制度を利用すれば、1株からでも購入ができるというわけです。その場合、かかる費用は2000円からとなります。
端株の最大のメリットは、購入金額が少なくて済むことから、値下がりしてもそれほど大きな損にならない点にあります。先のA社の株が仮に2000円から1000円に大きく値下がりしたとします。もし100株買っていたら、それだけで10万円の損失が生まれてしまいます。しかし、1株しか持っていなければ、損失は1000円、100分の1で済むことになります。これなら、値下がりで大きなストレスを抱えることもないでしょう。
また、実際に何か株を買うことで、その銘柄の値動きや会社に関するニュース、政治や経済の動向が気になるようになるはずです。そうした感覚を端株で学び、投資に慣れていただくという意図もあります。
もちろん、1株しか持っていなくてもれっきとした株主ですから、配当金がもらえたり、なかには株主優待がもらえたりすることもあります(なお、端株には議決権がなく、株主総会には参加できません)。
以上のことを積水化学工業(東証一部・証券コード4204)で説明したいと思います。こちらの株式を端株の購入ができる証券会社で注文します。端株の購入ができる証券会社はSBI証券(S株)、マネックス証券(ワン株)、カブドットコム証券(プチ株)、野村ネット&コール(まめ株)などで、それほど多くありません。SBI証券やマネックス証券が手数料が安いためおすすめです。
執筆当時、積水化学工業の株価は1853円でした。SBI証券の場合、この株を1株買うために必要な手数料は58円となります。つまり、合わせて1911円で投資ができてしまうというわけです。
積水化学工業の株価は、2007年には1000円程度だったのですが、2009年には500円程度まで下落しました。しかし、ここ最近は2000円をうかがう展開になっています。もし2007年に通常の100株単位で購入(購入資金約10万円)し、そのまま保有していたら、2009年には5万円の損失(含み損)を抱えてしまうところでした。
ようやく貯めた10万円が半値になってしまったら、結構なストレスになるのではないでしょうか。もしかしたら、もう株式投資なんてしない、なんて思って売却してしまう方もいるかもしれません。しかし、端株ならば損失はたったの500円ですから、ストレスはほとんどないでしょう。
しかも、端株であっても株主に届く「配当のお知らせ」に同封されているアンケートはがきを返送すると、カレンダー兼ペン立てをもらうことができます。最近はかなり減っていますが、端株でこうした株主優待(のようなもの)のある株をまず買ってみると、特に初心者の方にはうまみが多いのではないかと思います。
「銘柄選び5つの条件」とは?
前述のとおり、100株単元の株を端株で1株だけ持つと、確かに損失は100分の1にできます。しかし、利益も同時に100分の1になってしまうのです。やっとのことで株価が2倍になっても利益が1000円……という投資がいつまでも続いていたら、なかなか資産を増やせません。
端株はおすすめですが、いつまでも続ける投資でもないわけです。ある程度投資に慣れ、投資でお金が増えていくことが実感出来たら、100株(または1000株)単位で株を買ってみましょう。
私は会社四季報という本で投資する銘柄を探しています。会社四季報は、東洋経済新報社が年4回(3の倍数の月の中旬)に発行している上場企業のデータブックです。この本には、上場しているすべての会社の会社概要や財務諸表といった詳細な情報だけでなく、記者の独自の取材に基づいた会社の評価や業績予想まで記載されています。
なお、書店では1冊2000円程度で販売していますが、SBI証券、楽天証券、マネックス証券、GMOクリック証券などでは、口座を開設していれば情報の一部を無料で見ることができます。スマホのアプリで見られる会社もあるので、外出時などでちょっと確認したくなったときなどに便利です。私は今なら次の5つの条件を満たしている銘柄を購入するようにしています。
1. 配当金がある
会社は利益の一部を出資してくれた株主に還元してくれることがあります。この分け前を配当金と言います。多くは会社の決算の後で年に1~2回ですが、中には四半期決算ごとに年4回配当金を出している会社もあります。
重要なのは「配当金をきちんと出している」という事実です、配当金を出すためには、会社が安定して業績を伸ばしている必要があります。つまり、配当金がきちんと出ている会社は、安定している会社だということができるのです。逆に、配当金の額が減ったり(減配)、配当金自体がなくなったり(無配)するようだと業績の不調など、何かしらの問題が出てきていると判断することになります。
2. 株主優待がある
株主優待も配当金と同じく、株主に利益を還元してくれるものです。ただ、配当金はお金だったのに対し、株主優待は自社の製品、金券、記念品など会社によってさまざまなものがもらえるようになっています。上場している会社の3割程度が株主優待を実施しています。
考え方としては、これも配当金と同じです。株主優待が充実しているということは、それだけ会社にも余裕があって、株主に還元してくれる姿勢があるということを示しています。株主優待の内容は変更になったり廃止されたりすることがあるので、そのようなニュースは追いかけておきたいところです。
3. 利益が増えている
会社は決算で、その年の売上からかかった費用を差し引いて、利益を計算します。この利益が、年々増えていることが大切です。
よく「増収増益を達成しました」などというニュースが報じられることがあります。このうち、「増収」は売上、「増益」は利益が増えることをそれぞれ意味しています。会社が成長し、増益を達成していくと、株主にはさらなる還元が期待できます。
会社四季報の【業績】欄を見て、営業利益が安定して伸びているかをチェックしましょう。営業利益は、会社の本業で生み出すことができた利益です。つまり、これが増えているということは、会社の事業が時代に合っていて、着実に利益に結びついているということです。そうした会社の株は、持ち続けていればいいのです。
4. 借金が少ない
「借金」と聞いて、いいイメージのある方はほとんどいないでしょう。しかし、上場している会社のほとんどは、借金をしています。
会社が成長するには、工場や機械などの設備に投資したり、会社をうまく運営したりするための資金が必要です。その資金は、往々にして借金で調達しているのです。
一時的に借金をしても、会社はさらに利益を伸ばすことができると考えられます。借金には利息がつきますが、その利益よりも、会社の利益率が高くなれば、計算上その借金は返すことができるはずだからです。
会社四季報の【財務】欄に「有利子負債」という項目があります。ここには、会社が利息をつけて返さなければいけない金額が記載されています。有利子負債が多すぎれば、利息が重しになって利益が伸びていきません。同業他社と比べてみて、総資産に占める有利子負債の割合が少ない会社がベストです。
5. 現在の株価位置
最後に、現在の株価位置をチェックします。会社四季報には、過去の高値と安値が掲載されています。これを見れば、現在の株価水準がどのくらいの位置にあるのかを自分で確認することができます。
たとえば、過去の高値が500円、安値が400円、現在の株価が460円だったとします。この場合、この銘柄はおおよそ400円から500円の間で値動きをしているとまずイメージします。そのうえで、現在の株価を利用して次のような計算をします。
{1-(高値-現在値)÷(高値-安値)}×100
{1-(500-460)÷(500-400)}×100=60(%)
一言でいうと、現在の株価が過去の株価水準のどのくらいの割合のところにいるか、という計算をしています。一般的に、株価の上昇の勢いがあるとこの値が90、95……などと、100に近づいてきます。こうなると、さすがに材料出尽くし(株価が上昇する要因がなくなること)、見込まれた株価になってしまっているように思います。購入にあたっては、この数値が低いとき、または高値から下落して一時的に低くなったタイミングを狙います。
私は前に説明した1~4に当てはまる銘柄が複数あった場合に、この計算をします。そして、数値が低いほうを買うことが多いです。予算が限られているときのフィルターとして使っている、というわけです。
【JACKさんのお金の増やし方シリーズ】
(1)「お金を増やさないと」が招くギャンブル投資 味方にしたい◯◯とは?
(2)株投資のスタートは10万円の捻出から「何とかして貯める」方法
(3)「億超え」投資家が実践 大暴落に備える方法とは?
(4)株主優待を「無料ゲット」 株価下落リスクを抑える方法とは?
(5)投資で2億円を稼いだ投資家の「企業選び」5つの条件
(6)1億円に向けて覚えておきたい「王道銘柄」2つのポイント
JACK(ジャック)
個人投資家
バーテンダー、予備校講師、サラリーマンと多彩な職歴を歩む傍ら、IPO(新規公開株)を中心に2億円近くまでの資産を稼ぐ。