家族の口座を利用すれば、株主優待をお得に手に入れることができます。株主優待は通常、最低単元の株(100株または1000株)を持っていればもらうことができます。しかし、株数を倍の200株・2000株にしても、もらえる株主優待の量が2枚になるとは限りません。

なかには「100株で500円のクオカード、1000株で1000円のクオカード」といった株主優待もあります。これでは、1000株持っても優待利回りが低くなるだけで、うまみがありません。

(本記事は、JACK氏著『0円から2億円を稼いだJACKさんのお金の増やし方入門 単行本 』スタンダーズ (2017/4/27)の中から一部を抜粋・編集しています)

家族口座を活用して株主優待をお得に手に入れる

株主優待投資
(写真=PIXTA)

この場合、たとえば自分が100株、家族が100株購入すれば、500円のクオカードが2枚送られてくることになります。いいかえれば、200株で1000株分の株主優待を得ることができるわけです。

しかし問題が2つあります。1つは資金の問題です。配偶者や親などが自分の資金で株式投資をしているならば、対象の銘柄を買うように勧めるだけでいいと思います。しかし、投資をまったくしておらず、資金もない場合には注意が必要です。この場合、自分の資金をその家族に贈与することになります。その際、年110万円を超える贈与には贈与税がかかります。ですから、贈与の金額はその範囲内に収めるようにしましょう。

もう1つは証券口座の問題です。自分がよく使う証券会社だと、何かと使い勝手がいいと思います。しかし、家族が未成年の場合、未成年口座を開設できない証券会社もありますので、詳しくは各社にご確認ください。

ちなみに、SBI証券、マネックス証券、松井証券、GMOクリック証券については、問題なく開設ができました。手続きには1週間ぐらいかかりますので、事前に開設しておくことをおすすめします。このとき紹介キャンペーンをぜひとも利用したいところです。

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優待クロス取引で株価下落リスクを回避

株主優待をお得に手に入れ、確実に資産を増やしていくために、優待クロス取引の実践もおすすめします。

株主優待は権利付き最終日までに株を買って持ち越せば手に入れることができます、しかし、権利付き最終日の翌日(権利落ち日)には、株価が大きく下落することがあります。

そこで、優待のある銘柄に対して、現物取引の買い注文と、信用取引の売り注文を同時に出しておきます。すると、株価が下落した分だけ買い注文分には損失が出るのですが、売り注文分には利益が生まれます。つまり、損失と利益を相殺できるのです。そのうえで、株主優待を受け取ることができます。この方法を、優待クロス取引と呼んでいます。

優待クロス取引を行うには、信用口座を開設する必要があります。信用口座は、証券会社で別に申請して開設する信用取引用の口座です、リスクが比較的高い取引なので、資産額や投資の知識などに関する審査があります。

信用取引では、最大約3倍のレバレッジ効果を生み出せるうえ、売りから入る取引(信用売り・空売り)をすることができます。このうち、優待クロス取引で重要なのは、信用売りができることです。

信用売りで利益が出るイメージは、FXでの売りから入る場合と同じです。信用売りでは、証券会社から借りた株を先に売って、あとから買い戻して返却します。つまり、株価が高い時に売っておくと、株価が下落するほど利益になるというわけです。これが、通常の株の売買(現物取引)と真逆なので、優待クロス取引が可能になるのです。

優待クロス取引は、次の手順で行います。

(1)優待の欲しい銘柄に、成行の買い注文と売り注文の2つを同時に入れる

1000円の株を買うと同時に、証券会社から1000円の株を借りているということです。買いと売りの株数は同じにします。

(2)権利付き最終日はそのまま保有しておく(これで優待の権利獲得)

権利付き最終日をまたぐことで、買った株の優待をもらう権利が獲得できます(売った株の優待はもらえません)。

(3)権利落ち日以降に、売り注文を現渡しで返済する

信用取引では、借りた株を返すときに、すでに持っている同じ株を渡して返済できるルールがあります。これを現渡しといいます。権利落ち日以降に株価が急落していても、現物で返してしまうため関係ありません。

つまり、株価は下落すると、現物で買った株には損がでますが、信用売りをした株には利益が出るため、株価変動の影響なく優待を手に入れることができるのです。売買に伴うコストは少々かかりますが、価格下落で大きく損するよりはずっとお得だといえます。

とはいえ、注意点もいくつかあります。まず、逆日歩(ぎゃくひぶ)と呼ばれる、株の追加レンタル料がかかる可能性があることです。逆日歩は、信用売りの量が多くなったときだけ発生します。しかも、売買の時点では逆日歩が発生するのかしないのか、発生するならいくらなのかがわかりません。ときには、優待の価値以上の逆日歩が発生することもあるため、注意が必要になります。

逆日歩を防ぐには、一般信用取引を利用します。信用取引には、制度信用取引と一般信用取引があります。制度信用取引は、証券取引所が対象銘柄や取引期限などを決めて行う信用取引です。対して一般信用取引は、証券会社が独自に対象銘柄や取引期限などを決めて行う信用取引です。売買にかかる手数料は制度信用取引より一般信用取引のほうが高くなりますが、逆日歩を防ぐことができます。

私も、優待クロス取引を行う時には一般信用取引にしています。しかし、人気の優待銘柄の場合、権利付き最終日の1カ月前には一般信用取引の在庫がなくなる状況になっています。在庫がなければ空売りもできませんので、注意してください。

また、配当金調整金も受け取れます。買った株では受け取れるのですが、売った株では配当金調整金にあたる金額を支払う必要があり、相殺されるためです。

株主優待の権利確定日が一番多い3月をはじめ、9月、6月、12月にはコストパフォーマンス(優待価値 > 手数料などのコスト)のよい優待がたくさんありますので、投資資金がある限り、ひたすら優待クロス取引をしていくのがいいでしょう。

JACK(ジャック) 個人投資家
バーテンダー、予備校講師、サラリーマンと多彩な職歴を歩む傍ら、IPO(新規公開株)を中心に2億円近くまでの資産を稼ぐ。