親子そろって幸せなお金持ちになるには、日本人の従来型の金銭感覚ではいけません。節約は必要ですが「清く貧しく」のためではない。あくまでも「殖やす」ための種銭をつくりたいからです。

だから、無駄遣いをしないという習慣が必要。高校生にもなれば、アルバイトでけっこうまとまったお金を稼ぐようにもなるでしょう。幼いころからお金の教育をされていれば、稼いだ分をすべて消費してしまう、なんてことはないと思いますが……。親は、自分の子どもがどんな金銭感覚を持っているか、自戒の念を込めて注視したほうがいいと思います。

家庭教師や飲食店など、アルバイトで稼いでいる大学生のお子さんがいるなら、投資の大切さを教えて、「殖やす」元手となる種銭のため、無駄遣いはしないようにと改めて教えましょう。種銭がどんなものをもたらすのかの話もお忘れなく。

(本記事は、菅下清廣氏の著書『一生お金に困らない子どもを育てる45のルール』(PHP研究所 2016/3/19)の中から一部を抜粋・編集しています)

「シャネルのバッグを買ったつもりで、このお金を投資に使いなさい」

お金持ち,富裕層
(写真=PIXTA)

しつこいようですが、もちろん、そう教えるためには、親が無駄遣いをやめなければなりません。子どもはいつだって、親の背中を見ているものなのです。

消費はよくても、浪費はいけません。仮に投資で100万円の利益が出たとしても、まずシャネル、次はエルメス、次は、次は……と物欲に任せて浪費し続ければ、殖やせども、殖やせども、すぐにゼロベースに戻ってしまいます。

こんな姿を見せていては、「無駄遣いしちゃダメ」といったところで、自分を棚に上げて、としか思われないでしょう。小さな子どもだってそれくらいはわかります。

成長したら今度は、大学の合格祝いや成人祝いで、子どもから高級品をねだられたり、あるいは親が自発的にプレゼントするというのも、よくあることではないでしょうか。そこで本書を読んだ親御さんには、投資の資金として現金を渡してほしいと思います。

「好きなブランド品を買ったつもりで、このお金を投資に使いなさい」

「どの企業に投資するかは君に任せるから、このお金を殖やしてみなさい」

よくあるように、ブランド物のバッグや高級時計など、10万円単位のプレゼントをあげるよりも、「そのお金を使って、自分の頭で選んだ企業に投資しなさい」と教えることが、一番の餞はなむけになると思います。ブランド物はそのうち飽きてしまうでしょうが、自分で体得した投資の知恵や感覚は、一生もので、しかも応用がききます。

大学入学や成人といった人生の節目に、一人の投資家としての人生も開く。「お祝い」として投資の種銭をあげることで、お金の教養のある大人としての第一歩を踏み出させる、というのはいかがでしょう。

せっかくのお祝いだから、何か子どもが喜ぶものをプレゼントしたい、という親心はよくわかります。でも、モノは買ったらおしまい、あとは消耗していくだけです。

一方、投資は、あとからより大きく膨らんでいきます。

しばらくは配当金を受け取り、株価が上がったときに売れば、結果、手にしたキャッシュは最初より多くなっています。どうしても欲しいものがあるのなら、そうして殖やしたお金で買いなさい、と教えてもいいでしょう。

これでは、あまりにも味気ないと思われるのなら、予算の半分をプレゼントに、残りの半分を投資用として渡すのも一法です。

とにかく、「大きな買い物をしておしまい」にはしないこと。子どもの将来を考えれば、殖やすための資金として、現金を渡したほうがいいのです。

そう考えてみれば、子どもにお金の教養をつけさせる方法は、きわめてシンプルでわかりやすいのではないでしょうか。

今の子どもなら、ネットはお手のものでしょうから、証券取引口座さえ開いてあげれば、取引は自分でできるはずです。失敗しても親が面倒を見られる間に、投資に慣れ親しませておくことも重要です。

投資を始めるのは、早ければ早いほど、豊かさへの近道となります。できるだけ早くから、失敗と成功の経験を積み重ねていく。そうするほどお金の教養は高まり、投資家マインドが育ち、結果、子どもは労せずして豊かになっていけるのです。

『一生お金に困らない子どもを育てる45のルール』PHP研究所(2016/3/19)画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします
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親子で投資先を選ぶ、もう一つのメリット

子どもと一緒に投資先を考えるようになると、子どもとの会話も自ずと増えて、親にとっても投資はよりいっそう楽しいものになるでしょう。親子で投資に取り組むと、安全性や利殖性に加えて、もう一つ、楽しめるポイントがあります。

株式投資をすると、必ず何らかの形で「株主優待」が受けられます。ここにも注目すれば、もっと投資のワクワクは大きくなるでしょう。

たとえば、食品メーカーなら自社製品の詰め合わせ、レストランチェーンなら食事券、スーパーならキャッシュバック付きの優待券、デパートなら、好きなものを選べるカタログギフト……。株主優待で、いつも買っているものが少しでも安くなったり、タダでもらえたりすれば、株主になることで、ちょっとした家計の助けにもなってしまうわけですね。

というのは、やや所帯じみた話としても……、株主優待は企業によってさまざまです。工場見学やレジャーなど、親子で(しかも格安料金や無料で!)楽しめる株主優待を設けている企業もあるでしょう。

株主優待の情報は、証券会社のサイトでも見られると思いますし、ネットのフリーキーワード検索でもたくさんヒットします。実際に少し検索してみたところ、株主優待を人気順に並べたリストなども出てきました。

「株主になると具体的なモノやサービスの提供を受けられる」というのは、子どもにとって、かなり魅力的であるはずです。それこそ好きなアニメの関連会社の株主にでもなれば、関連グッズや映画の鑑賞券をもらえるかもしれません。よく行くレストランの食事券でも送られてくれば、いつもより一つ多く、子どもの好きなものを頼めます。

投資は道徳。これは根っこの部分では大切な投資家マインドですが、実際に投資を始め、長く続ける姿勢にもっていくには、株主優待という、ある種「即物的な楽しみ」を味わうことも意味があるでしょう。ぜひ、株主優待をテーマに、株主になることでどんな「おいしい思い」ができるのか、子どもと一緒に想像を膨らませてみてください。

こんなきっかけでも投資の話題が食卓にのぼるようになれば、子どもも自然と楽しみながら、お金の教養を身につけることができると思います。

菅下 清廣
スガシタパートナーズ株式会社代表取締役。国際金融コンサルタント、投資家。立命館アジア太平洋大学学長特別顧問。マーケット情報配信サービス「 スガシタボイス 」、株価の解説・予測が無料で読める「 スガシタレポート オンライン 」を配信中。

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