仕事ができる人は「雑談」を重視している

櫻井弘,雑談のコツ
(写真=The 21 online)

雑談は何気ないものであるだけに、「何を話していいのかわからない」「話しても続かない」という人が多い。「雑談だから、まぁいいか」で放っておいては大きな損をする。30年にわたって話し方を指導してきた櫻井弘氏にを教えていただいた。

考え込まずにまずはさわやかに挨拶を

日本人は総じて雑談が不得手だと言われます。これは、日本人のコミュニケーションスタイルが「察し型」だからでしょう。多くの言葉を費やさずに、相手の気持ちや状況を読むことを重視しているのです。

このコミュニケーションスタイルに慣れると、「馴れ馴れしい話をしていいものだろうか」「変に思われるかもしれない」などと考えすぎて、とくに内容のない雑談をすることにためらいを覚えてしまいます。

これは、裏を返すと、「雑談は目的のない会話だ」と多くの人が思っているということです。しかし、それは大きな誤解。雑談の内容そのものは確かに他愛のないものですが、「互いの人となりを知る」「親しみを持ってもらう」という明確な目的があるのです。

互いの人となりを知ることは、ビジネスではとくに重要です。相手がどんな人かわからないまま、いきなり商談をするのは、誰しも不安なものです。相手との良好な関係を構築することは不可欠なプロセスなのです。

ですから、まずはあれこれ考えすぎずに、雑談を始めてしまうことが大事。ハッキリとさわやかに挨拶をすれば、相手からも挨拶が返ってきます。これをスタート地点としましょう。

「つけ加えのひと言」が会話を続かせるコツ

挨拶が返ってきたあと、相手と目を合わせない人がいますが、そうしてしまうと雑談が続きません。

視線を合わせることは「自分を知ってほしい」「あなたを知りたい」という意思表示です。目を伏せていたら、相手に逃げ腰な印象を与えてしまいます。

目を合わせるのが怖いと感じる人は、「自分の左目で相手の左目を見る」ことを意識してみましょう。両目で正面切って見るよりも、心理的プレッシャーが軽くなります。

ちなみに、左目は感覚や感情を司る右脳とつながっているので、左目を見つめることで「感じの良い人」という印象を相手に与え、会話が活発化します。

よくあるのは、せっかく相手が「今日は寒いですね」などと話しかけてくれているのに、「そうですね」とだけ返して雑談が終わってしまうパターンです。

「寒いですね」と言われたら、「そうですね。でも、午後からは暖かくなるそうですよ」などと、もうひと言つけ加えて返すこと。この「1問2答」を鉄則にしましょう。

つけ加えるひと言はポジティブなものにすることもコツです。人は、あとから入った情報ほど鮮明に記憶するからです。「午後からは暖かくなるそうですよ。でも今は寒いですね」では、相手の気が滅入ってしまいます。

また、こまめに相手の名前を口にすることも好印象につながります。人は、自分の名前を呼ばれると「大切にされている」と感じるからです。

「○○さんは花粉症ですか?」「○○さん、どうぞ奥の席にお座りください」というように、会話の端々に相手の名前を入れるようにしましょう。

話題選びについては、「し・か・け」=「仕事・家庭・健康」がお勧め。「最近はお忙しいですか?」「お住まいは近くですか?」「私は最近、血圧が気になっておりまして……」などです。

これらの話題は差し障りがない無難なものです。無難な話題を選ぶメリットは、相手から「YES」の言葉を引き出しやすいこと。YESを言ってもらうごとに、距離がぐっと縮まります。そのまま本題に入ると、本題でもNOを言いづらくなるので、話の進行がスムーズになります。

相手が好きな話題に自分も興味を持とう

ビジネスシーンで雑談をするときは、本題の話につなげることを意識することが必要です。しかし、それを露骨に示すのはNG。「雑談を5分くらいして、あとは本題へ……」といった段取りに気を取られて、雑談をおざなりにしていると、「どうせ商品を売りたいだけだろう」と悪印象を持たれます。

段取りを考えつつも、それを感じさせないのが雑談上手の極意。ポイントは、相手への興味と関心を示すことにあります。

相手が好む話題は何かを探って、見つけたらそれを掘り下げましょう。相手の休日の過ごし方から趣味の話題に持っていくのがその典型です。

趣味がわかったら、「いつから始められたのですか?」「きっかけはなんですか?」と身を乗り出しましょう。人は自分の好きなことについて話すのが大好きですから、雑談が大いに弾むはずです。

雑談を楽しく盛りあげられたら、新しい情報を得られます。そうすると、その情報を別の場での雑談の話題として使えます。これを繰り返せば、話題に困ることがなくなります。

最大の秘訣は、どのような話題にも興味を持つこと。知らないことを「知らない」で終わらせず、「教えてください」と目を輝かせる。そんな人は誰からも好感を持たれ、「この人と仕事がしたい」と思ってもらえるでしょう。

櫻井 弘(さくらい・ひろし)〔株〕櫻井弘話し方研究所代表取締役社長
1955年、東京都港区生まれ、92年、CNS〔株〕話し方研究所に入所。専任講師、事業開発局営業部長などの役職を経て、2004年取締役所長。2014年現職。官公庁、地方自治体、企業など、1,000以上の組織でコミュニケーション研修を手がけるほか、著書も多数ある。(取材・構成:林加愛)(『 The 21 online 』2017年4月号より)

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