「いったいどの銘柄をどのようにトレードをしたら利益を出すことが出来るのですか?」振り返ってみると、この10年でこの手の質問を何回も受けました。相手の状態を知るために、「どんな銘柄をどんなタイミングでトレードしているのですか?」と質問を返します。

(本記事は、尾崎式史氏の著書『株で1億円! このエントリーチャンスを狙い撃て!!』ぱる出版(2016/7/29)の中から一部を抜粋・編集しています)

銘柄選びに関しては、TV、ネット情報、会社四季報、業界新聞、マネー雑誌、投資顧問会社の紹介等、人それぞれです。しかし、エントリーのタイミングを聞いてみると滅茶苦茶です。よくこんなところでエントリーするなぁ~ってところでエントリーしています。

ひどい例で言えば、加速した3本の陽線が出ているとすれば、その3本目の陽線の大引け前にエントリーですよ。

「私だったら利食いを開始する局面ですけどね。」って笑って答えるしかありません。

高値掴みは、相場の世界に参入すると必ず犯すミスのひとつです。このやってはいけないトレードを何度も何度も繰り返してしまうのが相場の世界なのです。「次は絶対に高値掴みはしないぞ!」と紙に書いてパソコンの前に貼り付ける。でも翌日、実際にエントリーする時にはそんな紙なんか目に入りません。右手でマウスを握りしめて、クリックすべきかどうか、悩んだ挙句クリックしてしまいます。そして、こう思います。「また、やってしまった?」

本当のチャート分析を知る

東証マザーズ指数先物
(写真=PIXTA)

では、なぜこうなるのでしょうか?

それは、エントリーのタイミングの取り方を知らないからです。

感情・感覚トレードをどれだけやり続けてもトレードは上手くなりません。ドンドンどんどん投資資金が減っていく一方です。どこかでドラスティックな方向転換をしなければ退場することになります。

では、どのように方向転換したら良いのかと言うと、エントリーのタイミングを見極めることが出来るようなチャート分析をするのです。ここで注意して頂きたいのは、チャート分析=テクニカル分析ではありません。多くの書籍ではそのような解説をしていますが、本書では、チャート分析とは、テクニカル分析、ファンダメンタルズ分析、ヒストリー分析を含めた分析を言います。

これは、覚えておいて頂きたい方程式です。

「チャート分析=テクニカル分析+ファンダメンタルズ分析+ヒストリー分析」

チャート分析をこのように捉えると、テクニカル分析だけでなく、ファンダメンタルズ分析やヒストリー分析も勉強していかないといけないのか、とちょっと気が重くなりそうですが、そんなことはありません。

テクニカル分析は5・25日移動平均線分析をメインに解説します。えっ、5・25日移動平均線分析だけで勝てるようになるの?と言う質問を頂きそうですが、これだけで勝てるようになります。本当の5・25日移動平均線分析を知らないからそんなことが言えるのです。

これに対し、ファンダメンタルズ分析とは、企業の財政状態、経営成績、成長性などの要因を分析する手法です。一般的には、中長期投資に向いている分析手法とされています。ただ、簡単にファンダメンタルズ分析といっても、実際はかなり詳細に財務分析や成長性を見極めることになり、難しいです。経済指標やマクロ経済を融合させて分析するとなると、相当な知識・労力、そしてデータやチャートの分析力を必要とします。

このようなことから、未熟なファンダメンタルズ分析をしている個人投資家は相場では勝てないと言われています。もちろん、個人投資家でも長年の研究でいろんなノウハウを持っている人も多いです。会社四季報のみを使って投資する方法もありますが、納得のいくリターンが見込めるのでしたら、自分の投資スタイルのひとつとして確立させましょう。そうでなければ見送っても大丈夫です。

最後はヒストリー分析についてです。歴史は繰り返すと言いますが、株式市場で起こったことも繰り返されます。つまり、どんな局面で、どんなタイミングで、きっかけは何か、値幅はどれくらいだったのか、これらを記憶しておけば次の同じような局面では非常に役立ちます。

一発勝負のアホトレードはしない

「大儲けしてやる!」と心に誓い、株式市場に参加してくる人も多いですね。でも、残念なことにそのほとんどの人たちは退場していきます。理由は投資資金が底をついたからです。では、なぜそのようなことになったのでしょうか?

大損するパターンはいくつかありますが、そのひとつがここで紹介するパターンです。投資資金を一気に5倍、10倍にしようと、投資資金を1回のトレードで全額投入してしまうことです。世間で言う全力買いです。こんなことをする奴はアホです。必ず相場から撤退することになります。

たまたま上手くいった全力買いトレードが頭から離れず、次のトレードも同じことをしてしまいます。確かに上手くいけば、短期間で投資資金を大きく増やすことが出来ますが、失敗すれば大損になります。一歩間違えれば、即退場です。歴史に残る相場師にこんなアホなことをする人はいないです。致命傷を食らう前に、こんなトレードはやめましょう。

しかし、相場の知識・技術を身に付け、チャート分析が出来るようになれば、ちょっと話は変わってきます。ここぞと言う時には、一点集中で大きな利益を狙いに行きます。野球で例えるなら、サヨナラ満塁ホームランと言う感じです。ビッグチャンスが来たら、自分の実力に合わせて、大勝負しましょう。

出来れば、サヨナラ満塁ホームランを年間2~3本打てれば万々歳です。そうすると、年間の投資利益は大きくプラスになりますし、細かなロスカットトレードも一発解消出来ますから。

【記憶しておきたい名言】
「卵は一つのカゴに盛るな」と愚かな者は言う。これでは「金を分散し、注意を分散させよ」と言うに等しい。
賢者は言う。「卵は一つのカゴに盛り、そのカゴをよくよく見守れ」と/マーク・トウェイン

『株で1億円! このエントリーチャンスを狙い撃て!!』ぱる出版(2016/7/29)画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします
『株で1億円! このエントリーチャンスを狙い撃て!!』ぱる出版(2016/7/29)画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

勝てるようになるまではトレード日誌をつけよう!

2016年1月から約3年ぶりにルネサンス倶楽部と言う投資のコミュニティ倶楽部を再開しました。全方位投資で儲けまくる個人投資家のコミュニティを目指しています。

この倶楽部では、なるべく早く勝ち組に駆け上がって頂こうと、勝てない理由や負ける理由を見つけるため、原因分析をします。そうすると、いろんなモノが見えてきます。よくあるパターンですが、トレード分析をしてみると、そもそも勝てないトレードをしていることもよくあります。こんなトレードを続けていてもロスカットになるだけです。小さな損失でも、塵も積もれば山となるのです。

この状況を打破するには、トレード日誌を付けることが手っ取り早いです。そもそも、負けるようなトレードばかりをやっている人が多いのが現実です。しかも、同じミスをずっとし続けているのです。現状を自ら認識・改善するのは非常に難しいから、同じミスを繰り返すことになるのです。

こで、自らの欠点を自覚するためにトレード日誌を付けるのです。もちろん、トレード日誌の付け方は人それぞれですが、まずは、トレードを細かく記録すると言う観点から書くのが良いですね。

そのうち目的をもって書くようになっていきます。ミストレードの検証や明日の値動き予測、さらにはトレードシナリオ構築にも応用できるようになります。ただし、その日の収支だけを羅列しても意味がないので、こんな日誌の付け方はやめましょう。

相場経験にもよりますが、丁寧に日誌を付けていると早ければ1か月で結果が出ます。どうすれば良いのか全く分からない、と言う初心者の方は、まずは自分の監視銘柄のローソク足をノートに書き写すことから始めれば良いでしょう。そこから、工夫していけばいろんなモノが見えてきますよ。

【記憶しておきたい名言】
頭を回転させて考えを整理したいとき、文字にしてみることほど効果的な方法はない/ウォーレン・バフェット

尾崎式史(おざき・のりふみ)
株式会社トレードライフコンサルティング代表取締役。

【編集部のオススメ記事】
「信用経済」という新たな尺度 あなたの信用力はどれくらい?(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
会社で「食事」を手間なく、おいしく出す方法(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)