2008年に設立されて以降、米国および外国為替に50以上のファンドを提供しているグローバルXは、2017年2月、BOSSというETFを開始した。日本語の「ボス」にはやや悪いイメージも付きまとうが、ネーミングの「BOSS」は「上司」とか「社長」といった意味を持っている。詰まるところこのETFは、「創業者、または共同創業者がCEO」米国の中堅・大企業を対象にしているのだ。

創業者CEO企業の強味とは?

BOSS ETF
(写真=PIXTA)

「BOSS」ETFが誕生した背景は、創業者CEO企業には他の企業を上回るポテンシャルがあるという事実からだという。その要素は、「所有」「革新」「文化」の3つだ。

まずは「所有」について考えてみよう。創業者 CEOは、平均的なS&P 500のCEOに比べて10倍もの高い持分シェアを保有しているという。当該企業はCEOにとって人生そのものであり、強い愛着心とともに長期的な視野を持って、企業の発展を見つめることができる。それに対して、企業規模が拡大してから経営に加わったような「プロフェッショナルなCEO」の場合には、比較的短期間の目標によって判断が左右される傾向が見られるというわけだ。

次いで「革新」という要素だ。本来創業者は、企業を成長させてきたことからも明らかなとおり、革新的で起業家的だ。けれども重要な問題は、「創業者は何百人、何千人もの従業員を持つ企業にも、革新的な文化を浸透させ続けることができるのか」という点にある。この点について、「創業者CEO企業はS&P500の平均的な会社と比べて特許の数が31%多い」ということや、「創業者 CEOは、企業に新しい技術的方向性を持たせる可能性が高い」といった研究結果が発表されている。

創業者CEO企業の第3の重要な側面は、創業者から生まれ、それが組織全体に浸透している、一種の「文化」と呼べるようなものかもしれない。企業は常に、より機敏に、明確な目標を持って行動することを要求されているが、創業者の生み出した「文化」が、それを可能にしているケースは決して少なくないという。

「BOSS」ETFは、「こうした3つの要素を考えた場合には、創業者CEO企業への投資には長期的な価値がある」との考えに基づいているわけだ。

「BOSS」ETFの概要

こうした背景を持つ「BOSS」ETFの、2017年5月16日現在における概要は次の通りだ。

ティッカー:BOSS
優先市場:BATS Global Markets
純資産:2,345,382.72ドル
管理報酬:0.65%
年間資金運用費用:0.65%
開始日:2017年2月13日

組入れ銘柄トップ10の顔ぶれ

「BOSS」に組入れられている銘柄のトップ10は次の通りだ。

企業名/組み入れ比率
1.NVIDIA CORP(エヌビディア)/1.30%
2.PAREXEL INTERNATIONAL CORP(パレクセル・インターナショナル)/1.24%
3.TWITTER INC(ツイッター)/1.17%
4.REGENERON PHARMACEUTICALS(リジェネロン・ファーマシューチカルズ)/1.16%
5.ATHENAHEALTH INC(アテナヘルス )/1.11%
6.IPG PHOTONICS CORP(IPGフォトニクス) /1.11%
7.SQUARE INC -A(スクエア)/1.11%
8.WORKDAY INC-CLASS(ワークデイ)/1.10%
9.VEEVA SYSTEMS INC-CLASS A(ヴィーヴァ・システムズ)/1.09%
10.CAVIUM INC(カビウム)/1.09%

組入れ比率がトップのエヌビディアは、カリフォルニア州サンタクララにある半導体メーカーだ。コンピュータのグラフィクス処理や、演算処理の高速化を目的としたGPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)の開発・販売を行っている企業として、世界的にも有名だ。

エヌビディアの社長兼CEOであるジェン・スン・ファン氏は、LSIロジックを退社した後、1993年に副社長のクリス・マラコウスキー氏らとともにこの会社を設立した、まさに創業者だ。

組入れ比率が2位以下の銘柄にも、創業者CEOの企業ばかりが揃っている。こうした銘柄を選択するというユニークな「BOSS」ETFが、どのような成果を上げるのか。今後の推移が注目されるところだ。(ZUU online 編集部)

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