楽天証券が、共通ポイントサービスである「楽天スーパーポイント」で投資信託の購入が可能になると発表した。今夏を目途にサービスを始める。あわせて、投資信託の最低購入金額を業界最低水準となる100円に引き下げる事も発表している。こちらは5月27日に開始された。投信購入の敷居を下げ、若年層の開拓を進める。

投資をより気軽に

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(画像=楽天証券Webサイトより)

「楽天スーパーポイント」は「楽天市場」等グループ内のサービス利用時や「楽天カード」、「楽天Edy」の利用時に付与される。付与されたポイントは「楽天市場」での買い物等に利用する事が出来るが、今夏よりポイントを使った投資信託の購入も可能となる。

証券会社以外で貯めたポイントで投資信託の購入が出来るサービスは非常に珍しい。投資家は現金を支払わずに投信購入を行えるようになり、投資の敷居は下がる。貯まったポイントで購入した商品が値下がりしても、現金を支払っていない分、諦めがつくという人も多いであろう。

同社は投資信託の最低購入金額の引き下げも発表した。従来は通常購入で1万円、積立買付で1000円としていた最低購入金額をどちらの場合でも100円に改める。これまでの業界最低水準はカブドットコム証券 <8703> 等の500円であったが、これを大きく下回る。

100円から投信購入が出来るようになれば、投資家はより気軽に投資を始める事が可能となる。また、従来よりも細かな分散投資が出来たり、証券会社に入金した資金を余す事無く投資に回す事も可能となる。

若年層や投資未経験者の取り込みは各社の課題

同社のこうした施策は、若年層を中心とした投資未経験者の取り込みが狙いであると見られる。金融庁は証券会社の高齢者取引への規制を強化しており、若年層顧客の開拓や投資未経験者の取り込みは証券各社の課題となっている。投資の敷居を下げる事で、そうした層が投資を始めるきっかけを提供する。

同社の業績も新しい施策を生む要因となった。5月11日に開示された2017年3月期連結決算では、売上高にあたる営業収益は前年同月比15%減の467億円、営業利益は同32%減の167億円となった。インターネット証券ではSBI証券に営業収益で倍近くの差をつけられている。国内株式の委託個人売買代金の業界シェアも15.2%とSBI証券の34.7%に劣後しており、証券総合口座数も225万口座とSBI証券の384万口座との開きは大きい。業界首位と大きく引き離された2位に甘んじる同社にとって、新規顧客の開拓は喫緊の課題である。

楽天 <4755> によると、楽天会員数は2016年12月末時点で1億1489万人に上る。一方楽天証券の口座数は225万口座、その中で楽天会員情報に紐付けされている口座数は117万口座程度である。ポイントを保有する口座未開設者は相当数いると考えられる。「楽天スーパーポイント」での投信購入はこうした層の取り込みを促す可能性がある。同社の施策の効果に注目したい。(ZUU online編集部)