廃刊雑誌や創刊号な ど、明治時代以降140年分の雑誌が保管されている図書館をご存知だろうか。1971年に設立された日本最初の雑誌専門図書館「大宅壮一文庫」だ。この図書館が存続の危機にあることが話題となっている。

大宅壮一文庫とは 1万タイトルの雑誌を所蔵

クラウドファンディング,雑誌
(画像=Readyfor Webサイトより)

大宅壮一文庫と は、大宅壮一(1900年9月13日-1970年11月22日、ジャーナリスト、ノンフィクション作家、評論家)の約17万冊に及ぶ雑誌コレクションを引き継ぐ形で作られた、日本で初めての雑誌図書館。大宅壮一は1900年に大阪府富田村(現在の高槻市)に生まれた評論家で、第二次大戦後、独特の社会評論や人物評論で支持を得た人物だ。新語づくりの名人としても知られており、「一億総白痴化」や「駅弁大学」「恐妻」という言葉の生みの親でもある。

大宅壮一は、「本は読むものではなく、引くものだよ」という言葉を残しており、評論活動のかたわら、執筆のための資料収集と整理に尽くした。古書市や古書店に通い、約20万冊の蔵書を「雑草文庫:と称して知人に惜しみなく開放していた。大宅壮一の没後、この蔵書を活かして開設されたのが「大宅壮一文庫」だ。

大宅壮一の残した蔵書のうち、17万冊は雑誌だった。この中には、明治屋対象に創刊された雑誌の創刊号など貴重なものも数多くある。所蔵する雑誌の中で一番古いものは、1875年に華族会館が発行した「會館雑誌」。「天覧議事記」や「展覧講義記」といった記事が掲載されている。

現在、大宅壮一文庫には約78万冊が所蔵されており、今後も毎年1万冊ずつ増加される予定。雑誌は記事だけでなく、広告にもその時代の風俗が反映されており、当時を知るための貴重な資料となっている。

クラウドファンディングで存続のための資金調達に

貴重な資料が保管されている大宅壮一文庫だが、近年インターネットの普及などにより、図書館の利用者数が大幅に減少。私設図書館のため、1回300円の入館料を運営費用にあてていたが、資金難に陥った。図書館存続のためにとった手段がクラウドファンディングだ。クラウドファンディングサイトである「Ready for」において、図書館存続のための資金を支援してもらえるように呼び掛けている。

【関連リンク】
https://readyfor.jp/projects/oya-bunko

図書館存続のために目標としている金額は500万円。2017年5月30日の時点で、すでに目標金額を超える630万5000円が集まっている。目標金額に達しているが、6月30日午後11時までは継続して支援を行うことが可能だ。

クラウドファンディングでは、支援の額に応じたリターンがある。今回の場合、額に応じてお礼のメールや図書館の利用料が無料になるなどのリターンが用意されている。中でも注目なのが5万円と10万円の支援を行った際のリターンだ。

大宅壮一文庫は貴重な資料を保存するため、閉架式というシステムをとっている。これは希望する雑誌を職員に申請すると、職員が書庫から本を持ってきてくれる形だ。そのため、書庫の中に入ることはできない。今回、5万円の支援を行った方は館長による書庫の案内ツアーに参加できる。さらに10万円の支援を行えば、案内ツアーの後、書庫での自由な閲覧が可能だ。貴重な資料に触れられることもあり、5万円の支援は18人、10万円の支援は14人が行っている。

入館者を増やすことは、距離や時間などが障害となってなかなか難しい。しかし、貴重な資料を保存していきたいと思う方にとって、距離や時間に関係なく支援を行えるクラウドファンディングは有効な手段となるのではないだろうか。(ZUU online 編集部)

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