ブラウザゲームからネイティブアプリへの戦略シフト
2012年ごろに転機がやってきます。スマートフォンの普及と共にネイティブアプリの台頭が始まります。『パズル&ドラゴンズ』や『拡散性ミリオンアーサー』といった今日のソーシャルゲーム界を牽引するゲームがこの時に誕生し始めます。一方で、無料通話アプリのLINEがプラットフォーム化し、『ポコパン』や『ディズニーツムツム』といったLINEゲームがApp Store上でトップを独占するようになりました。モバゲー、GREEに代わる新たなプラットフォームが台頭することになったのです。それまでカードバトルゲームをはじめとするブラウザゲーム提供を中心に行っていたgumiですが、この時からネイティブアプリに集中する戦略にシフトしていきます。ネイティブアプリの特徴はゲーム性が複雑になってくるため調整が難しくなる点です。また、ゲームにオリジナリティが求められる上に、それがユーザーに受け入れられるかが見えない点です。それに対しgumiの考え方はシンプルです。まずはとにかくたくさんのゲームをつくるということです。実はブラウザゲーム時代にも、育成ゲーム、動物園シミュレーション、恋愛シミュレーション、水族館シミュレーションなど幅広いジャンルのゲームをつくっていました。その中から『任侠道』というカードバトルゲームが成功したので、その分野に集中していったという経緯がありました。ネイティブアプリでも同様の方針によって『ブレイブフロンティア』のような本格的RPGのリリースに到りました。今『ブレイブフロンティア』はgumiの大黒柱的存在のゲームにまで成長しました。現在タレントの「大政絢さん」を起用した積極的なプロモーション広告(TVCM)も行っています。まずは数打つ戦略で開発を進めてヒットタイトルの確立を目指し、それに成功すれば、次に、確実に成功が見込める続編や同ジャンルのゲームを出して(グローバル展開含め)収益を上げていくことを考える。これがgumiのエンターテインメントビジネスの経営の考え方です。
グローバル展開とアジア地域へのフォーカス
収益拡大を目指してgumiは積極的なグローバル展開にも取り組んできました。2012年4月に韓国オフィスを設立して以来、シンガポール、中国(上海)、台湾、インドネシア、フィリピン、パリと次々に現地拠点を立ち上げました。2013年12月時点で海外の社員が約300人、日本の東京と福岡オフィスの社員数の合計が約350人で、ほぼ日本と同数の社員が海外拠点にいるという体制を構築しました。それぞれの拠点だけで事業を運営できる独立した組織の構築を目指してきました。『ブレイブフロンティア』は韓国でリリースしてから非常に好調で現地で受け入れられるようにローカライズ・カルチャライズに成功した事例といえます。3年後の全世界のモバイルゲーム市場約5兆円のうち約6割をアジア市場が占めるといわれていることからgumiは今後アジアにフォーカスしていくことを考えています。グローバル市場で競争していくためには、それぞれの国・地域に根ざした体制・人材とノウハウがないと戦うことができないということがgumiの基本的な考え方です。
gumiは先述のLINEとの提携により海外展開を推進することで来年中には世界のゲームパブリッシャーランキングで現在トップ3である「ガンホー」、「Supercell」、「King」の一角に入り、再来年中にはぶっちぎりの1位を取ることを目指しています。ソーシャルゲームを日本の輸出産業に育てることを本気で考えているgumiの今後の動向には目が離せません。
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