個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入対象者に2017年1月から専業主婦も含まれることになりました。しかし、専業主婦は加入してもそれほどお得ではないという声も耳にします。主婦が加入しても、本当にお得ではないのでしょうか。ここでは主婦のiDeCo運用について考えていきます。

iDeCoの所得控除メリットを専業主婦は受けることができない

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(写真=Yuganov Konstantin/Shutterstock.com)

専業主婦にとって、それほどiDeCoのメリットが大きくないといわれる理由はなんなのでしょうか。

これは、iDeCoの拠出金が全額所得控除の対象となるからです。所得税は収入に応じて税率が変動し、収入が高ければその分所得税率および納付金額が大きくなります。

専業主婦のiDeCoの拠出金額上限は、月々2万3,000円で、年間で27万6,000円が上限です。そのため、貯蓄効果については高くないと考える人もいるかもしれません。しかし、所得税を納めている人にとっては税金面でのメリットは大きいといえます。

たとえば、公務員は月々1万2,000円までしか拠出することができませんが、年間では14万4,000円になります。もし、税率が20%ならば、年間約2万8,800円の節税になります。税率が30%ならば、約4万3,200円です。

これが10年ならば、数十万の節税ができることになるのです。このようなことから、iDeCoは、拠出金の運用というよりは、むしろ節税効果を期待して拠出する人も多くなっています。

仕事をしていない専業主婦は、所得税を納めていないためこのiDeCoのメリットを受けることができません。しかし、パートやアルバイトをしている主婦は、場合によっては収入に応じて所得税がかかるため、iDeCoの加入により、節税効果を若干得ることができます。

専業主婦がiDeCoを運用するときのポイント

具体的には以下のものをあげることができます。

● 退職金代わりとして貯めてみる
退職金が支給されない主婦業にも、退職金と同様の考え方でiDeCoを活用することができます。毎月コツコツと貯めておき、退職金として自分を労うと考えると、毎日のルーティンワークや毎日の部屋の片付けも、若干楽しく感じることができるようになるのではないでしょうか。

● 運用利益が非課税
iDeCoの特徴は、金融商品を自分で選んで運用しなければならないことにあります。運用によって得た利益は非課税となっているため、税制面で優遇されています。

NISAも運用などによって利益を得た場合は非課税となりますが、個人型確定拠出年金に比べてNISAは期間が短く限定的なものです。そのため、個人型確定拠出年金の方がより非課税メリットが高いといえるでしょう。

また、個人型確定拠出年金の場合は、満期になるまで長期間積み立てることができ、運用益はずっと非課税になることが大きなポイントです。通常の運用益には、約20%の税金がかかるため、長期的にみるとかなりの節税効果が期待できます。

● 自分の資産となり、万が一に備えることができる
iDeCoに拠出したものは、たとえ自分から離婚を切り出したり、自分が原因で離婚したりしても財産分与の対象になりません。もちろん自己破産などの場合は、私有財産について調査されますが、iDeCoは回収されません。

専業主婦にもiDeCo

iDeCoのメリットとして、節税効果があげられます。ただ、専業主婦の場合は収入がないことから所得税などの節税効果は得られません。しかし、iDeCoを運用していくことで、将来退職金と同じようにまとまった金額を受け取ることが可能です。

また、運用による利益は非課税であることもポイントです。老後資金という観点だけでなく、投資という観点からも長期的メリットが大きい商品といえます。専業主婦もぜひ個人型確定拠出年金を活用し、将来に備えたライフプランを作っていきましょう。(提供: iDeCo online

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